Peewee

□星祭、雨宿り
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 彼女とおつきあいを始めてから数週間、デートの回数はまだ片手におさまる程度で、当然のように今日も逢えない。

 五節句だとか言ったって所詮は平日、それも週のど真ん中なのだから仕方がない。

 けれど気持ちが通じ合う前は耐えきれた時間が、今は酷く長くて同時に孤独だった。


《いつかちゃんこそ、お疲れさま》


 返信をしながら、もしかしたら、この雨は彦星こそが降らせているものかもしれないと思った。

 同じ立場だとして、雨が降ったら僕ならきっと、ホッとするだろうから。

 長い間離ればなれになっていた挙げ句の、つかの間再会だなんて、喜べるのはよほどの楽天家だけだ。

 せっかく逢ったところで、再び離れなければならない運命なのだ。それが大前提なのだ。こんな苦痛はない。

 僕だったら耐えきれない。

 ならば最初から、雨の所為にして不運を嘆く方がよほどいい。


《七夕ですね。雨、やまないかなあ》


 間髪を入れず返されたメールを見、僕はもう少し、アーケードの隅に留まる選択をした。
 
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