壬生狼
□第四幕
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ちゅん、ちゅちゅん
パチッ
『ふぁっ…。』
ひかりは鳥の囀りで目を覚ました。
『…また君かい?』
ひかりが窓へ目を向けるとそこには昨日の鳥。
窓が開いていないからか近くの木の枝に止まっていた。
ひかりがソッと窓を開けてあげると然も当たり前かのように入ってくる。
『君は可愛いね。恭弥気に入っt……。』
“気に入ってくれるかな”と言おうとしたひかりだったが恭弥はこの世界にいないことを思い出して口を紡(ツム)いだ。
『…恭弥。僕が居なくなって、少しは寂しがってくれるかな?…僕みたいに。』
ひかりはそこまで言うと悲しそうに“それは無いね…”と呟いた。
『だって恭弥は僕を…。』
“嫌ってるからね”
その言葉は涙と共に部屋に消えていった。
――…
あの後、顔を洗ったひかりは食堂に来ていた。
食堂の窓口には名物と化しそうな元気なジェリーの姿。
ひかりは少々うざったそうに顔を顔を歪めた。
そんなひかりが頼んだものは勿論…
『ハンバーグ。』
ジ「分かったわーvV大好きなひかりの為に作っちゃうわ!」
ひかりとジェリーは昨日初めて合ったのだがひかりはジェリーに気に入られてしまった。
ジ「そうそう!また新入りが入ったのよ!」
『ふーん。』
ジ「凄く可愛かったわ!でも一番はひかりよvV」
ジェリーは“きゃー言っちゃったvV”などとほざきながらもハンバーグを作る手は止めない。
ジ「おまちどさま。盛り合わせにポテトサラダ作っておいたわよvV」
『そう。』
ひかりは群れている食堂に苛つきながらも片隅の人気の無い所に座った。
そして、ハンバーグを一口サイズに切り口に含んだひかりはほんのり頬を緩めた。
『(恭弥にも、食べさせてあげたいくらいだね。)…僕は恭弥を思ってばかりだね。』
溜め息を吐きつつ二口目を食べようとした時。
??「何だとコラァッ!!」
大きな怒鳴り声が響き渡った。
その声を出したのは捜索部隊(ファインダー)のバズという男。
そしてそのバズが怒鳴った相手は神田。
『……。』
ひかりは食事を邪魔されたこともあり凄く苛ついていた。
そしてガタッと席を立った。
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