壬生狼

□第五幕
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ひかり達がマテールに到着した時、その場は冷たい空気に包まれていた。






神「チッ。トマに無線が通じなかったんで急いでみたが……殺られたな。」




神田の言葉にアレンは顔を歪めた。



だが神田はそんな事お構い無しに続ける。





神「始まる前に言っとく。お前等が殺されそうになっても任務遂行の邪魔だと判断したら、お前等を見殺しにするぜ。」






『……。』





神「戦争に犠牲は当然だからな。変な仲間意識持つなよ。」





ア「嫌な言い方。」




アレンは嫌悪感を感じてフイッと神田から顔を反らしたがひかりは納得いかなそうに口を開く。






『ちょっと。もしかして“殺されそうに”の中に僕も入っているのかい?』




神「あ?」




『言っておくけど、僕は弱くない。それに仲間意識なんてモノ…初めから持ち合わせてないよ。』






“僕に必要なのはあの人だけ…”と意味深な言葉を残しひかりはアクマの方へと駆け出す。




それと同時にファインダーがアクマに弄ばれているのを見付けたアレンも駆け出した。





神「あの馬鹿…。」








――…





AK「あ"あ"ぁぁあッ!!」





『弱い。…退屈で仕方ないよ。』






ひかりの周りには沢山のレベル1のアクマ達。




そのアクマ達は何処からかウジャウジャと次から次へと湧き出てくる。





『でも、咬み殺し甲斐があるね。』





そこでひかりがチラッと辺りを見渡すと先程までいた神田とアレン、そしてレベル2がいない事に気が付いた。




まぁ、ひかりには関係無い事なのだが…。






ひかりは思考を一旦そこで止め、アクマに目を戻した。







『…。』





そこで見えたのは、今までバラバラだったアクマが一ヶ所に集まっている様子。






そして、中心にいた1匹のアクマが周りのアクマを殺し始めた。





『……。』




ひかりはそれを怪訝に見つめる。





すると、やがては中心にいたアクマ1匹だけとなった。





『……。僕の獲物、横取りしないでくれるかい?』





そしてひかりがどすの効いた声でそう言った瞬間、アクマがボコボコッと変形し始めた。





AK「ふふっ。俺はアクマ。ダークマターから生まれた新たな自我!!」




バギッ!!!




バキッ…



パキンッ!!!





ひかりの目の前にいたアクマは物凄い物音を発てて形を次々に変えていく。





そして…





『ワォ。凄いね。』




AK「…レベルアップだ。」




ひかりの前に現れたのは先程までの球体のアクマではなく、手足のあるアクマだった。






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