藍-aihi-緋
□第四幕
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朝(と言っても昼近くだが)篝が目覚めた時、隣の部屋にいる筈のアレンがいなかった。
教団内を探してもどこにもアレンの姿は無かった。
『…アレン。』
すると目の前にツインテールの女の子。
『(確か…)リ、ナリー。』
篝に呼ばれたリナリーは驚いたように振り向いた。
リナリーは呼び掛けられるとは思って無かったのだろう。
自分の名前を覚えてもらっていたことにも驚いたようだったがそれと同時にリナリーは嬉しかった。
リ「こんにちは、篝。どうかしたの?」
『アレン…知らない?』
“どこにも居ない”と俯く篝にリナリーは微笑み掛けた。
リ「アレン君なら今任務に行ってるわ。」
『任務…。』
リ「えぇ、神田と一緒にマテールな行ってるのよ。」
任務と聞いて心配そうにしていたが“神田”と聞いた瞬間、きゅッと眉間にシワが寄って徐々に口がへの字になって行く。
リ「(神田、相当嫌われてるわね。)あ、篝。そろそろお腹空かない?」
『?…(コクリ)』
一度首を傾げた篝はお腹を擦った後“うん”と頷いた。
──…
食堂
リ「篝、こちらジェリーさん。料理長さんなの。」
ジ「あらン!?この子も可愛いじゃない!何が食べたい?アタシ何でも作っちゃう!」
篝の可愛さにきゅんっと母性を擽られたジェリーは身を乗り出す。
『…。』
だが篝はぼーっとジェリーを見つめるだけ。
リ「篝?ジェリーさんが何食べたいかって。」
リナリーの言葉に目をしぱしぱと数回瞬く篝。
『ちょこ。』
リ・ジ「「え?」」
『……ちょこ。』
昼食なのにチョコレートが食べたいという篝に二人は驚いた。
ジ「篝?ち、チョコは昼食じゃないわよ…?」
『………ちょこ…。』
リ「…ぁ。」
リナリーは篝が何度も“ちょこ”と繰り返す姿を見て任務前にアレンから言われた言葉を思い出した。
ア「篝はチョコレートが大好物なんです。」
リ「チョコレート?」
ア「はい。だから、朝ご飯や昼ご飯等をチョコレートで済ませようとするのでその時は止めて下さい。」
リナリーは“アレン君が言ったようになったなぁ”と思いクスリと笑みを溢した。
リ「篝、チョコレートはサンドイッチ食べてからにしましょ?」
『…ヤ、ちょこ。』
リ「そんな事言ってたらアレン君に怒られちゃうわ。」
『…。』
アレンの名前に反応した篝は仕方なく頷いた。
リ「クスッ。(可愛い。)」
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