壬生狼

□第三幕
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キィィィン…






逆三角形をしたエレベーターにはひかりとコムイの姿。






『…ねぇ、まだなの?』





ひかりの機嫌の悪そうな低い声を聞いてコムイは冷や汗を流す。




コ「つ、着いたからそんな怒らないでよひかり君!」






コムイの言葉にひかりが視線を奥に擦らすとそこにはフードによって顔を隠した5人の姿。





?「それは神のイノセンス。全知全能の力なり。」





『…。』




?「またひとつ…。我等は神を手に入れた。」





邪険そうに話を聞いているひかりにコムイは“誰か分からないからだろう”と思って親切に説明をした。





コ「僕等のボス、大元帥の方々だよ。」





『ふーん。』





コムイは“これで大丈夫”と思い安堵の息を吐く。




が…




『そんな事どうでもいいよ。僕は見下ろされるのが嫌いなんだ。…ねぇ、降りてきなよ、咬み殺すから。』























コ「(違ったぁぁぁぁぁあ!)」





ひかりが邪険そうにしていたのは誰か分からなかったからでは無く、見下ろされているからであった。






コ「(ひかり君はこういう子だった!)」





コムイはひかりがどんな人物だったかを思い出して急いで取り押さえた。






『放しなよ、コムイ・リー。僕はあいつ等を咬み…んっ。』





“咬み殺す”と言おうとしたひかりの口をコムイは手で素早く塞いだ。





大元帥に向かって“咬み殺す”など恐れ多い。






コ「さ、さぁ。君の価値をあの方々にお見せするんだ。」






コムイはそう言うとパッとひかりから離れた。





『?』





不思議に思ったひかりだったがすぐに何故が分かった。





何かの気配がもの凄い勢いで近付いて来る。






そして…






『何だい、これは…。』






ひかりが気付いた時には足に白い手のようなものが巻き付いていた。






『ワォ、面白いね。』





ひかりがギラ付いた目を向けた先には大きな大きな白いひと。





?「イ、イノ…イノセンス…。」





『…僕に、咬み殺されたいらしい。』





ひかりの苛つきは限界に達して小太刀を構えた。





だが。沢山の白い手がひかりから小太刀まで全てを包み込んでしまいひかりは動けなくなってしまった。






?「落ち着いて…。私、は敵じゃない…。」





そう言うとひかりを完全に包み込み、シンクロ率を計り始めた。





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