Gift

□君と想い合えたら…
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「日向ぁ、そのジュースちょっと頂戴♪」

「はぁ? 自分で買えよ!」



いつものように主将のクラスに遊びに行くと、そんな会話が聞こえてきた


女子の声はオレ達バスケ部のマネージャーの苗字 名前だ



「いいじゃん!
…あっ!もしかして、間接キスだーとか考えてんの〜?」(ニヤニヤ)

「ちげーよ、だアホ! …ったく、ほら」

「ありがと!」



端から見れば、バカップルの如く仲の良い二人…


そこにオレが入り込める隙間はなさそうだった



「こいつといると疲れる…」

「まぁまぁ」



机に突っ伏し、疲れ気味に言う日向を慰める



チラッと名前を見ると、全部飲み干してしまうつもりなのだろう、グイッと缶を上に傾けた



「っふぅ…おいしかったぁ」

「Σうわっ! 全部飲みやがった!?」

「ごめん、ごめん♪」

「お前なぁ!」



日向はガタッとイスから立ち上がり、名前を追いかけ始めた


教室で追いかけっこをする二人を見てイライラする


オレの心が…暗い感情に支配される



「(ここにいない方がいいな…)」



と思い、離れようとしたとき名前がオレのところに駆け寄って来た



「伊月、助けて! 襲われるっ!!」

「…ごめん、名前 オレ、教室帰る」

「い、伊月…? どうしたの??」

「何でもないから…気にしないで……」



苦笑いをして「じゃあ」と、言って教室を後にした






そのまま教室に帰るのも嫌だったので、クラスメートに理由をつけて授業をサボることにした


定番の屋上に行くと、そこには当たり前だが誰もいなかった


柵に手を置いて空を仰ぎ見る



「何やってんだろうな、オレ…」



呟いた言葉は少し熱を持った風に掻き消される…


することもなく、ぼーっと空を眺めていると…



バンッ!



勢いよくドアが開く音がして、そちらに顔を向ければ、息を切らした名前の姿があった



「や、やっぱり…!」

「名前…? なんでここに?」



驚いたように聞いてみれば、名前は息を整えながらオレの隣に来た



「勘で、ここにいるかなって思ったんだけど
…正解だったからよかったよ」



ニッコリと笑いかけてくる名前を見て、また暗い感情に蝕まれそうになる



「どうして来たんだ…?」

「伊月が教室出るとき、なんか様子が変だなって思ってさ… …何かあった?」

「……別に?」



笑ってみせるが、名前の表情は晴れないままで…むしろ、だんだん曇っていった



「嘘…ついてるでしょ?」

「なん、で……」



図星を突かれ上擦る声に名前は俯いたその表情は…どこか悲しげだった



「わかるよ… 伊月のこと……ずっと見てきたから…」

「どういう…こ、と…?」



オレの聞き間違えか……?



「私……伊月のことが…好き、なの///」



顔を真っ赤にしながら言う名前に思わずオレまで赤くなってしまった




君と想い合えたら…
(オレも名前が好きだ…)
(うれしい…!)











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