ぬらりひょんの孫

□恋愛対象
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廊下を歩いていると、大好きな首無がいた



「首無ー♪」

「ぅわっ!?」



後ろから抱き着く(タックルとも言う)と、首無はバランスを崩しそうになりながらも、なんとか持ちこたえた



「名前様… どうしたんですか?」

「ん? 首無を見かけたから反射的に抱き着いちゃった♪」

「…そうですか……」



疲れたような、なんとも言えない表情をされたが気にせず話を振った



「首無は兄様の所に行くの?」

「はい 名前様は、どちらに?」

「鴆兄様に薬のこと教えてもらいに行くの」



手に持っていた本を見せると「立派ですね」と、首無は優しく微笑んだ



「…あっ! 遅刻すると怒られるから行くね?」

「はい 頑張って下さい」

「うん! じゃあねー♪」



首無に背を向け、私はスキップをしながら鴆兄様の部屋へ向かった






「最近さ、名前と鴆君って仲良いよね」

「…へ??」



鴆兄様との勉強会が終わり、みんなで夕食を食べている時、兄様が突然変なことを言い出した



「だから、二人って最近仲良いよね」



…今それを言うかなぁ…!


首無がいるのにさっ!


助けを求めて鴆兄様を見ると、一瞬目が合って、それからニヤリと笑う



「だろ? まぁ、名前とは、ほとんど一緒にいるからな」

「そういえば、帰ってからずっと鴆君の部屋に篭ってるしね」



兄様と鴆兄様は楽しげに話続ける


そんな二人を見ながら、私は軽くため息をついて夕食を食べ続けた






夕食を終え、お風呂に入り、部屋に戻ろうと歩いていると肩を叩かれた


誰だろうと振り返ると鴆兄様だった



「どうしたの?」

「…さっきのこと、怒ってねぇみたいだな」

「さっき? …夕食のときの?」

「あぁ」

「怒ってないよ 少し呆れただけだから
なんでそんなこと聞くの??」



首を傾げ聞いてみると鴆兄様は、困ったような顔をして「そういう鈍感なところが問題だな」と、小さい声で言った



「聞こえてるんですけどっ!」

「ん? …あぁ、悪ぃ悪ぃ」



絶対思ってないだろうなぁ…なんて考えながら、ふと思い出したことを口にする



「…あの、さ…今日教えてもらったとこで、解らないところがあるの……教えてくれない…?」

「…あぁ いいz…「すみません」



不意に後ろから声がして振り返ると首無がいた


その表情は少し怒っているように見えた



「なんだ、首無? 何か用でもあるのか?」

「名前様に用があるんです
鴆様は外してください」



首無は鴆兄様を睨んだままグッと私の身体を引き寄せた


それを見て鴆兄様は少し驚いた顔をしたけど、すぐにニヤッと笑った



「…わかったよ
名前、教えるのは明日だ
いいな?」

「えっ…あ、うん……わかった」



私が頷くと鴆兄様は踵を返して歩いていった



「……………」

「……………」



気まずいんですけど…っ!


どうしようか迷っていると、首無はいきなり近くの部屋に私を連れていった


そこは物置として使われている部屋で、人はあまり来ない


首無は、私を壁に押さえ付けるとグッと顔を近づけた



「ちょっ…首無っ! どうしたの?!」

「……名前様は、鴆様が好きなのですか?」

「…えっ?」



何を言われているのか、一瞬わからなかった


どうしてそんなことを言うんだろう…?


私が好きなのは首無だけなんだよ……


様々な感情が入り交じって、頬に一筋の涙が伝う



「名前様っ!?」

「なんで、そんなこと言うの?
私は…首無が好きなのにっ…!」



涙は止まることを知らないかのように流れ続ける


そんな私を見て首無は驚いた顔をした



「それは…本当、ですか?」

「嘘なんて、言うわけないよ」



そう言って微笑んだ私を、首無は抱きしめてくれた










恋愛対象
(ボクも好きでした…)
(…うれしいっ…!!)






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