黒子のバスケ

□HAPPY BIRTHDAY
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「うぅ…寒いっ!!」



1月も終わりを告げる日(つまり31日のことだけど)


珍しく積もった雪をザクザクと踏みながら雪の降る中を歩く


大雪注意報が出たにも関わらず、学校は通常通りにある



「注意報出たんだから休みでいいじゃん!」



一人ブツブツと文句を言いながら歩いていると



「その通りですね」



隣から聞き覚えのある声が聞こえた
勢いよく、声の聞こえた方を見てみると



「Σぎゃっ!?」



驚きすぎて、女子にあるまじき声が出てしまった



「く、黒子…君?」

「おはようございます、苗字さん」

「お、おはようございます…」



…いやいや、普通に挨拶してる場合じゃないでしょ、自分っ!



「えっと、いつから…?」

「寒いと大声で言っていたあたりからです」



…うっわぁ、最悪……


よりによって、黒子君に聞かれるとは…


実を言うと、私は黒子君が好きなのだ


そりゃあもう、試合を見に行って応援するほど


だから、さっきの失態は本当に恥ずかしい


はぁ…と、ため息をしたところでふっと違和感を感じ、聞いてみた



「あのさ…朝練は?」

「休みになりました」

「そうなんだ なんで?」

「雪で電車が動かないみたいで、電車通学の人が来られなくなったそうです」



少し困ったような顔をして黒子君はそう言った



「ところで…苗字さん」

「へっ??」



いきなり話題を変えられ、素っ頓狂な声を上げる



「今日が何の日か知っていますか?」

「今日??」

「はい」



言われて、しばらく考え込む


節分は来月だし、バレンタインも来月…


1月31日って、なんかあったかなぁ?



「…ごめん、分かんない」

「火神君から聞いてませんか?」

「?? うん」

「そう、ですか…」



黒子君は苦笑いをして、ため息をつく


わ、私…何か悪いことしたかな?



「あまり自分では言いたくなかったんですが…今日、ボクの誕生日なんです」

「……マジで?」

「マジです」



…最悪……っ!!


火神君、なんで教えてくれなかったのよ……



「ご、ごめんね! 私、知らなくてっ…プレゼント用意してないの」

「大丈夫ですよ 気にしないでください」



寂しそうに笑いかけてくれるその表情に、罪悪感が沸いて来る



「あの、さ…今日の放課後って遊べる?」

「えっ?」

「いや、そしたら黒子君の欲しいもの買ってあげられるかなぁ…って思ったんだけど…」

「欲しいもの…ですか」

「うん! ダメ?」

「…………」



やっぱりサプライズの方がよかったかな…?


でも、何が欲しいか分からないし…


私が思案に耽っていると、黒子君が私の顔を見てクスッと笑った



「ボクの欲しいものは、今手に入れることが出来るのですが…」

「Σえっ! そうなっ……」



そうなの?!と、言う前にその言葉は何かによって呑み込まれた


その何かが、黒子君の唇だと気付くのにそう時間はかからなかった



ちゅっ…



ゆっくりと離れていく黒子君の顔を見つめる



「く、黒子君…! なん、で…?」



驚いて声が上擦り、顔も赤くなる



「…知りたいですか?」

「う、ん…」



黒子君はまたクスッと笑ったけど、その表情はさっきよりも小悪魔的だった



「それはですね……」



耳元で囁かれた言葉に私は、さらに顔を赤くするのだった










HAPPY BIRTHDAY
〜黒子テツヤの場合〜


(好きだから…ですよ 苗字さんが)
(Σえっ!?)
(名前は?)
(…私も……)






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