♪小説♪

□become composed
1ページ/3ページ

アイツは俺を穏やかな気持ちにさせてくれる。
本来ならば恐怖を感じるであろう俺にさえ、あの笑顔を惜しむことなく振りまいてくれるんだ・・・。

勿体無い。と、そう思う。

そしてあれに惹かれてはいけない。と己に警告を出す。




「ウルキオラ」

「はい、藍染様」



我が主の声はいつもと変わらず、表情もあの貼り付けたような笑顔。
どんなに笑んでいようとこの人は常に冷たい。
あの女とはまるで正反対だといつも思う。



「最近の様子はどうだい?」

「食事も定期的に摂り睡眠も充分のようです。体調には変わった変化はみられません。少し元気過ぎるくらいではと思います。」

「はァ・・・。織姫のことじゃないよ、君のことだ。」


予想外の言葉を送り出してくる唇はやはり冷たく微笑んでいた。
最初呼び出されたとき、いつものようにあの女の報告とばかり思っていたせいかなかなか言葉が見つからない。

それ以前に何故このような質問をされたのだ?




「俺自身特に変わりませんが・・・。」

事実だけを伝える

「そうかい?私には随分と穏やかそうな君が映ったから少し気になってね。何もないなら構わないんだが。」



――下がっていいよ。と最後に言われ俺はその場を後にする。

一体何が言いたかったのか理解することができなかったが、それを解ったところでなにも変わらないと思うと随分と無駄な時間のように思えた。




「自分では気付いていないみたいだったが・・・。彼は確実に織姫の影響を受けているのかもしれないね・・・。」


ウルキオラが出て行き自分しかいない部屋のなかで呟く藍染は、まるで新しい玩具でも得たかのように上機嫌だった。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ