♪小説♪

□バスタオルが隠すのは恥ずかしさ
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「ふぅ〜。やっぱりお風呂は気持ちいいなぁ」


いつも夕飯前に済ませているお風呂を今日はちょっと長めにしてみた。
髪の水気を一通り拭き石鹸の香りが残る肢体をバスタオルが這う。


「あ、着替え・・・どうしよう・・・。持ってくるの忘れちゃった。」


拭き終わり下着を見につけようとしたそのとき、その存在が無いことに気付いた。
確かソファに置いてそのままだったはず。
誰もいない部屋なのだからこのまま全裸で行ってもよかったのだが、さすがに羞恥心の無い人間にはなれないようで、心細いながらもバスタオルを巻きつけた。
気休め程度に巻きつかれたバスタオル。
早くこの姿から解放されたくて小走り気味にソファまでの距離を縮めていく。
用意した着替えまであと少し、のところで・・・。


「入るぞ・・・。」

「えッ・・・!?」


ノックくらいしてほしいものだ・・・。
いや、今はそんなことに重要性は感じない。
静かに入ってきた彼と目が合った。


「夕飯を・・・持ってきたのだが・・・。」

「え、っと、その・・・あの・・・今お風呂から出たばかりで着替えがなくてバスタオルだけで・・・えーっと・・・」


自分でもよくわからない説明が口から零れていくが、至って冷静な彼を見てると騒いでる自分がバカらしく思えた。
それでもどうしていいのかわからない私は軽いパニックに陥りそうだった。
着替えるにしても先程と違って今は一人ではない。
かといってこのままでいるのも恥ずかしい。


「うー・・・あー・・・えーと・・・。」

「・・・?どうした?そのままでは風邪をひくぞ?」


どうしてそんな冷静でいられるんですか!
私今裸に近い状況なんですよ?
好きな人の前でバスタオル一枚の私は慌ててるのになんで貴方はそんなに冷静でいられるのだろう。
とりあえず、一度出て行ってもらわなくちゃ・・・。


「えっと・・・ですね・・・私着替えたいんで・・・って、・・・・・・え?」


出て行ってほしいと言おうとして、軽い音に気付く。
床には私を包んでくれていたバスタオルが・・・。
視線を自分の体に移すと一糸纏わぬ生まれたばかりの赤子の状態。




「い、いやァァァァァ!!!!」



こんなに叫んだのはいつ以来だろうか。
とにかく出せる限りの声で叫んでしまっていた。
だっていきなり全裸にされたんだもん。
そりゃ誰のせいでもないけど、叫ぶのが普通の女の子の反応だと思う。


「う、うそ・・・!」


慌ててしゃがみこタオルを拾うと身を包んだ。
手遅れの行為かもしれないが、全裸よりはマシだ。


「なんだ・・・恥ずかしかったのなら先に言え。」


やっとわかってくれたんですか!
でももう遅い・・・。
だって絶対見られてる。
出て行く間際に「ちゃんと着替えておけ、風邪をひく。着替えたら飯を食っとけ。」と言い残す彼を何故か私は引き止めていた。


「待ってください・・・。」

「どうした・・・?」

「恥ずかしく・・・ないです・・・。」


嘘だ、本当は恥ずかしい。
でも、見られてもいいと思ってしまった・・・。


「ウルキオラさんになら・・・見られてもいいです・・・。」


自分でも信じられないが、バスタオルをふわりと床に落していた。


「ウルキオラさんには・・・見られても・・・平気です・・・。」


平気だったらこんなに震えないだろう。
なんて正直な私の体。
湯冷めしたのか少し寒い。
それでいて熱がこもったように頬は朱に染まっていく。


「織姫・・・。」


抱きしめてくれる温かい存在・・・。
今私は温もりを感じているわけで。
震えが治まっていた・・。


「えへへ、暖かいです・・・。これで風邪はひきませんね。」

「・・・そうだな、もし引いたのなら俺が貰ってやる。」

「本当ですかー?約束してくださいね!」

「あぁ、約束だ。」


この人は本当に約束を守るのだろうな、と思いながら彼の胸に顔を埋めた。
大好きな彼の温もりに、自分の石鹸の匂いを混ぜるようにぴったりと抱き合っていた・・・。











貴方となら不安も安らぎに変わるの!





アトガキモドキ
なんだか裏に走っちゃいそうなのを必死におさえた(笑)
織姫の全裸を見てもウルは何も感じないのかね?
クールなのがウルで、ここで取り乱すのがグリだと勝手に妄想(笑)


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