□小説□

□そんな君にfall in love!
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「なぁ…お前に『普通』ってやつを求めちゃいけねぇのかな?」

「…なんの話?いきなり失礼ね。」


いや、だってさ。
そりゃ見た目と中身が違うのはわかってるけどよ。
本来同い年くらいの蘭と比べると全然違うし。
俺より1つ上なだけでかなり大人っぽいし。
つまりなにもかもが不相応に見えてしまう。


「例えば…だぜ?」


俺はこの間歩美にしたことと同じことをしてみた。
まぁあれは無意識だったんだけど。
コツン、と軽い音を立てて俺のデコと灰原のデコが合わさる。
歩美が熱っぽいって言うからこうして体温を測ろうとしたんだよな確か。
でもそんな俺の行動に歩美は可愛らしく頬を染めてて。
きっとそれが普通の女の子の反応だとも思う。
…で、灰原はというと…。


「…なんなの?もしかして発情期?」


…なんて冷静…!
小学1年生の姿で『発情期』という単語が出てくるとは…!
いつものジト目で俺を軽く睨んでいる。
こんな至近距離に顔があるっていうのに表情ひとつ崩さない灰原。
むしろ俺のほうが恥ずかしくなってきて体が熱くなっていく。
…ッ…!何で俺が頬染めてんだよ…!?
互いの吐息がかかるくらいに二人の距離は0に近くて。
睨んでくる灰原の視線でさえも自ら絡まり合うことを望んで自分からは引き剥がせない…。


「まったく…。今日のあなた変よ?何がしたくて何が言いたいのかさっぱりわからないわ。」

「…俺も…。何がしてぇんだろうな…?」

「…バカ?」

「んなハッキリ言うなよ!俺傷つくぜ…!?」

「ふふ、探偵が傷つくサマを見るのも楽しいからいいんだけど?」

「お前なぁ…。」


何かが解決するわけでは無いが頭をガシガシと掻いて気を紛らわす。
それと同時に、一度離れたはずの灰原の香りが漂った。
揺れる髪から香るのはシャンプーの残り香だろうか。
俺の首に両腕を巻きつけピッタリと、それはもう先ほどデコとデコを合わせたときよりも遥かに2人の距離は0だった。


「は、灰原…!?」


突然抱きしめられ俺の頭はショート寸前。
顔から湯気が出るんじゃないかって思うくらいに体の芯が甘く疼く。


「あ、あの…。灰原…さん・・?」


どれくらいこうしていたのだろうか?
俺は抱きしめ返していいのかもわからずただ灰原に抱きつかれたままの体勢で時間が過ぎるのを感じていた。


「ふ、ふふ…っ…!」


やがて笑いを殺そうとして失敗したような灰原の声が響いた。
それは堪え切れなくなったのかはっきりとしたものに変わり、俺の首に巻かれていた腕は解かれていた。


「あなた、さっき私に普通の女の子の反応を求めて近づいたんでしょう?だから私もお返しに抱きついてみたんだけど…。予想以上にウブな反応で面白かったわ…!」

「てんめぇ…。」


あはは!とそれはもう楽しそうに、悪戯が成功した子供…ではないな。まるで小悪魔のように笑う灰原を見て俺の何かがキレた。


「…俺をなめんなよ…?」

「え、ちょっと…!工藤君…!?…んッ…!」


灰原の柔らかい唇に自分のを重ねた。
キスというよりは噛み付くといった表現のほうが正しいかもしれない。
優しくなんてできないから、せめて灰原を抱きしめる腕だけは柔らかく…。
薄紅色の柔らかい唇を数秒だけ楽しみ、すぐに開放してやった。
どうせこんなことされても表情を崩さないんだろうなと思っていた。
しかし、どうやら効果はあったようだ。


「…ッ…!」

「灰原…?」

「み、見ないで…!」


覗きこめば唇を片手で押えながら瞳を潤ませる灰原の姿があった。
色白の肌に上気したピンクが映えるその姿はなんて優艶なのだろう…。


「へぇ…。灰原も『普通』だったってことか…。」

「あなたバカじゃない…!?いきなりこんなことされて平気でいられるわけないでしょう…!?」

「でもさっきは平気だったじゃん…?」

「私ポーカーフェイスは得意なのよ。」

「へ?…てことはまさか…?」

「さっきだって充分恥ずかしかったわ…!それなのに…今度はキスだなんて…!」


俺はなんだか無性に嬉しくなって灰原を抱きしめた。
本日最高の笑顔を灰原に向ければ灰原もため息をつきながらも抱きしめ返してくれる。


「好きだぜ灰原。」

「知ってるわ?」

「ケッ、やっぱ可愛くねぇなぁ。」

「あら、『普通』の次は『可愛さ』を求めるの?随分ワガママね。」

「へいへい、灰原は今のままで充分ですよ。」

「ふふ、わかればいいのよ。」


愛おしい彼女の首筋に顔を埋めれば灰原の緩やかなウェーブのかかった髪が俺の顔をくすぐる。
そんな些細なことでさえ幸せを感じてしまう…。
きっと灰原無しでは考えられないことなわけで。


「なぁ、俺たちずっと一緒だよな?」

「そうね…、だって私たちは…。」







運命共同体でしょう?





■END■






アトガキモドキ
お待たせしましましたゆいちゃん!
リクがコ哀だったんでシチュとかは勝手に作っちゃいました。
コ哀は初めて書いたんですけど、きっとリクを貰わなきゃ書く機会なんてなかったんで本当感謝してます!
たとえ駄文だったとしても…!
ゆいちゃんへのプレゼントとして頑張って書きました!
書きなおしや苦情いつでも受け付けてるんで遠慮なく言ってくださいね。
これからもよろしくお願いします☆


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