□小説□

□この身が果てるまで永遠に
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夜が活動時間であるはずの屋敷の妖怪たちもすっかり寝静まり、私も部屋に戻ろうとしていた。
しかし縁側にいた私の主を見つけて思わず止まって様子を伺っていた。
静かにただそこに座っているだけでも私にとって存在の大きいお方。
その後姿のなんて頼もしいことでしょう…。
家の明かりは最小限で、どちらかというと暗闇に近く外の月や星の光のほうが強く感じる。
そんな中、月を射るように見据え、手にした盃を緩慢な動作で口元へと運んでいくリクオ様。
リクオ様の髪が冷たい風に吹かれ靡くのをぼんやりと見つめ、そして少し遠慮がちに隣に腰かけた。


「若、こんなところにいると風邪をひきますよ?」

「つららか…。」

「若は明日も学校があるのですから。お酒なんて飲んでたら明日起きれませんわ?」

「いいんだよ…。今日は月が綺麗だからな。」

「…それはどんな理由なんでしょう?」

「んー…そうだな…。じゃあ隣につららがいるから…で、どうだい?」

「ますます理解できないんですが…。」

「綺麗なものを見ながら酒を飲むのが至福の時間ってことさ。」

「若…ッ!」

「どうした?顔が赤いぜ?お前は飲んでないだろう?」


まったく、誰のせいだと思っているんですか。
夜のお姿の貴方に胸がうるさく反応してしまうのです。


「今宵の月見酒、私がお傍にいてもよろしいですか…?」

「あぁ、勿論。此処にいてくれ…。」


そう言うとリクオ様は私の肩を抱き寄せた。
どれほどここで夜風にあたっていたのだろうか。リクオ様を包む衣服は冷たく、私が寄り添うことでもっと冷えてしまうのはないかと心配になる。
しかし冷たいのは実際は布だけのようで、肩に触れるリクオ様の掌や間近に感じる吐息はとても熱く私を痺れさせる…。


「つらら…。」

「はい…?」

「明日は学校サボるか…。」

「珍しいですね。若がご自分からそんなこと言うなんて…。」

「一日つららと一緒にいるのも悪くないと思って、な…。」

「ふふ、私は嬉しいですけど…。」

「けど…?なんだ?」

「いいえ、なんでもありません。」


言えるわけないじゃないですか。
貴方のことを独り占めしたくなるなんて…。
近くで過ごせば過ごすほど、貴方のことを慕う気持ちが大きくなっていくのです。
それが止められなくなったときが怖い…。


「何を考えているか知らないが…。お前は俺のことだけ考えていろ。」

「え?」

「つららは俺の下僕だろう?なら俺のことだけ考えてればいい。」


ふわりと私を抱きしめたかと思うと雨のように降り注ぐリクオ様の唇。
それは髪に、額に、頬に、そして…唇に…。


「ん…!わ、かぁ…ッ…」

「つらら…。ずっと傍にいてくれ…。」

「はい…。ずっとお傍にいます…。いさせてください…。」


絡まり合う私たちを見ているのは夜空だけ。
止められない気持ちと行為は光り輝く星の下でひとつのカタチになっていた…。











月光に染められて





■END■





アトガキモドキ
夜リクつらでしたぁ。
んー…大人っぽくを目指したんだけど…どうだろうか…?
リクつらはやっぱりいいなw
本当に大好きだw


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