□小説□

□泣かないで笑って
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「うッ…うぅ…ひっく…ッ」


どうしようどうしよう。
目の前でつららが泣いている。
泣いてる理由はわかってるし、悪いのは自分だってのもわかってるんだけど解決策はわからない…。


「つらら…頼むから泣きやんでよ…。」

「だって…だって…私のマフラーが…」


鼻水を啜りながら途切れ途切れに喋る彼女の首元にはいつも巻かれているマフラーが無かった。
何故かと言うと犬神との戦いのときに僕に変装した首無がつららのマフラーを巻いていて、そしてそれは血まみれになってしまいとてもじゃないが使い物にもならなかった。
あの作戦を考えたのは僕だし仕方のないことなんだけどまさかつららが泣くほど気に入ってるものだとは思わなかった。
…しかしよく考えてみればいつも身につけているということは気に入っているという証拠なのかもしれない。
それに気づかず結果的につららを泣かせてしまった僕。
…どうしたら彼女は泣き止む…?


「つらら…ごめんね?本当にごめん…。」

「うッ…あのマフラー気に入ってたんですよ…?・・それなのに…ひっく…ッ」


先ほどから何度謝罪を繰り返そうと泣きやんでくれない。
僕はつららの泣き顔なんて見たくないのに。
泣かせた原因を作ったのは僕だけど、つららには笑っていてほしいのが本音だ。
もうあのマフラーは戻ってこない。
つららが気に入っていたマフラーはもう二度とその白い首元を隠すことは無いんだ…。
そうだ、もう無いのなら…


「ねぇ、つらら。新しいマフラー買いに行こうよ。」

「え…?」

「お詫びに新しいマフラー買ってあげるから、機嫌直して?」

「え?え?若が私にマフラーを買ってくださるんですか…?」

「うん。せめてもの償いに。それじゃ…許してもらえないかな?」

「いいえ!とんでもないです!私すっごく嬉しいです!でも…本当にいいんですか?」

「もちろん。つららの好きなマフラー買いに行こうよ。」

「若…ありがとうございます…!」


あ、笑ってくれた。
まだ目には涙が溜まってるけど。
にこりと微笑んだ瞬間に雫が頬を伝っていたけど。
僕の目にはその涙さえ可愛らしく映る。
…笑ってくれた…。


「え?若…?どうしたんです?」


心からホッとした僕は全体重をつららに預けるように凭れかかった。
いきなりよりかかった僕に驚きの声をあげるつららを無視して一言。


「つららはやっぱり笑ってるほうが可愛いよ。」


照れているのかほんのりと頬を上気させ俯くつらら。
あぁ、やっぱり可愛い。
でもこんな姿のつららを外に出したくないから、買い物に行くのはもうちょっと後かな。










君が笑えば僕も





■END■




アトガキモドキ
ちょっぴりネタバレっぽいかな?
犬神戦でつららのマフラーはダメになっちゃった気がするんだけど…。実際どうだったっけ?
このお話は買いに行くことを決めたところまでしか書いてないけど、もしかしたら続くかもです。
というか続きは本誌で見たいです(笑)ぜひつららのマフラーのお話が見たいw


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