□小説□

□答えは貴方が持ってる
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『好き』だけじゃ満足できない。
でも『愛してる』じゃ足りないの。
ねぇ、この気持ちをどうしたらいいの…?


「…何か考え事か?」


感情の色を見せない声音でウルキオラさんは私に問いかけた。
心配するわけでもなく、黙っている私を疑問に思うわけでもなく。
きっと気まぐれで問いかけたのだろう。
そんなウルキオラさんに正直に、たった今考えていたことを言ってみた。


「『好き』じゃ満足できない。でも『愛してる』じゃ足りないんです。だから…」

「だから…?なんだ?」

「私はウルキオラさんにどんな気持ちを抱いてるんだろう…って。」

「相変わらずくだらんことばかり考えているんだな。」

「え〜?くだらないですか?結構真面目に考えてたんですけど…。」


『好き』でも『愛してる』でも違う気がするの。
でもこれ以外うまい言葉が見つからない…。
そうなると私の想いはなんなのか?
ほら、やっぱりくだらないことなんかじゃ無い。


「お前の気持ちとやらは…一々言葉にしないと消えるものなのか…?」

「そんなことは無いです。有り得ません。」


これだけはきっぱりと言い切れる。


「…そうか。」


即答した私に何が可笑しかったのかウルキオラさんは口の端を上げていた。
無感情に見えた瞳は深い翠にどこか優しさを潜めて私を射ぬく。


「なんだか…別にもういいです。」

「答えが出たのか?」

「そうじゃ無いけど…。今ここにウルキオラさんがいる…それだけでいいのかな、って思えるから
…。」

「同じだな。」

「え?何がです?」

「俺もお前がいるだけで…それだけでいいと思える。」


なんだろう、この感情…。
ウルキオラさんの一言一言が私を支配している。
嬉しくて、とてもじゃないけど言葉になんてできない…。


「好きです、愛してます。」

「…それだけでは満足できないと言っていなかったか?」

「それじゃ…ウルキオラさんは満足できるんですか?」

「さぁな。考えたことも無い。」


最後にやっぱり「くだらんな」と付け加えてウルキオラさんは私に近づいてきた。
キスされる…そう思ったがウルキオラさんの唇は私の唇を通り過ぎて耳元に接近してきた。
ひんやりと冷たい指先で私の横髪を掬い取り、まるで邪魔だと言うかのように耳にかけていた。


「好きだ、愛している。」

「…!?」


まさかの発言に私は半歩体を引いて驚いた。
押さえた耳元はウルキオラさんの吐息を忘れられないようで奥でじんじん言っている。
ウルキオラさんが囁いた愛はこんなにも簡単に私の中を駆け巡っていく…。


「どうした?顔が赤いぞ?」

「ウルキオラさんのせいじゃないですかっ・・!」


悔しかった私は半歩引いた体をもう一度ウルキオラさんの元まで戻し、感情に任せてその首元に腕を回した。
この距離では忙しなく動く心臓の音も伝わっているだろう。
しかし今はそんなことは関係ない。
やられたらやり返すのだ。


「ウルキオラさん…キスしていいですか?」

「あぁ。」


形式だけの許可を得る。
拒まれることなど無いと知っているから。
直前まで視線を絡ませ、唇が重なるころにはどちらからともなく目を閉じた。
閉ざされた視覚の中で感じるウルキオラさんの柔らかく薄い唇…。
触れ合うだけでは足りなくて、舌を割りこませた。
味わうように深く繋がる私とウルキオラさん…。
口内で追いかけっこをしてるみたいに激しく互いを求める…。


「んっ…ぁ…。」

「珍しく積極的だな。」

「今日は…いいんです。」


『好き』だけじゃ満足できない。
でも『愛してる』じゃ足りないの。
だから私は常に貴方を求めてる。
そして同じように求められることで安心できるんだ…。



■END■




アトガキモドキ
甘い話になったと思います。
甘過ぎてゲロっちゃいたくなるような話を目指しましたw
2人はラブラブってことでw
単純に『好き』とか『愛してる』じゃ足りないこともあるんだよきっと。


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