*小説*

□本当の気持ち
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『寂しい』だなんて絶対に言わないわ。
『会いたい』の代わりに電話を切るタイミングを遅らせるの。
日本にいる私にはそれくらいしかできない…。


「ねぇ…、」

『あ?』

「…ううん、なんでもない。」


電話越しの彼の声はこんなに近いのに、その温もりは遠く離れたところにあるのね…。
声を聞くたびに寂しくなる。
電話を切るたびに会いたくなる。
恋愛ってこんなに苦しいものだっけ?
好きなのに苦しい…。
幸せのはずなのに欠片も感じられない彼の熱…。
もっと近くで…機械を通した声じゃなくて貴方自身を感じたいの…。
気持ちは重なってるはずなのに…。
会えないだけでこんな気持ちになるなんて…。


『…ぃ!…おい!姉崎聞いてんのか…!?』

「あ、ごめん…。何?」


どうやら意識を飛ばしていたらしい。
ヒル魔くんの大きめの声が私を引き戻す。


『…ったく…。俺の話をシカトするとはいい度胸じゃねぇか…?』

「ちょっと考え事してて…。それで?何を話してたの?」

『…糞マネが。ちゃんと聞いとけ。』

「私はもうマネージャーじゃないわ?それにあなたもキャプテンじゃないでしょ。それで?なんなの?」

『俺と結婚しろっつったんだよ。』

「は?…え、あの…何?もう一回言ってくれる?」

『テメェは俺に同じことを三回言わせる気か?』

「だって…」


信じられないんだもの…。
貴方からそんな言葉が聞ける日が来るなんて…。
考えたことが無いわけじゃない。
むしろ一緒になれたらいいのにといつも思っていた。
そうすれば同じ場所でたくさんの時間を共有することができると思っていたから。
でもそれは所詮私の願望でしかないと思っていたのに。


『返事は?』

「そんなの…」

『なんだ?声が震えてんぞ?嬉し泣きか?ケケケ!』

「う、うるさいわねっ…!」

『明日日本に戻る。それまでに気持ち決めとけ。』

「え?…あッ…」


一方的に電話は切れてしまった。
私の答えは最初から決まっているのに。
今すぐにでも伝えたいくらいなのに。
もう彼の声を届けてはくれない受話器を置く。
そして全身に広がるヒル魔くんの言葉…。


「私の苗字…もうすぐ変わるのね…。」


それは遠い未来…ううん、もしかしたら叶わないことだったのかもしれない。
しかし現実となって私を幸せで包み込んでいく。
明日久々に彼に会える。
今まで会えなかったぶんたくさんの時間を過ごそう。
そして彼の腕の中に閉じこもっていよう。
既に決まっている私の気持ちを伝えながら…。





明日よ早く来て!



■END■



アトガキモドキ
ネタだけ提供してくれた方がいたので文にしてみました。
プロポーズ話を、とのことでしたが…。
この話個人的には気に入らないです。
自分で書いといてアレなんですけど…
なんて言えばいいんだろう…なんか気に入らない…
でもとりあえず形にはなったからいっか、と思ってUPすることに。
駄文でごめんなさいorz


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