♪小説♪

□女神のお膝元
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眩暈がする。
頭が痛い。
掠れた情けない声だけが漏れていく。
そして妙に寒気がする。
それなのに体温はいつもより高め。
どうなってるんだ・・・?
ふらつく足取りで向かうのは自宮ではなくあの女の所。
無性に会いたくてたまらない。
本能のままに、会いたいの一心で壁に手をつき体を支えながら歩く。
ただ歩いてるだけなのに漏れる息は乱れ、静寂で包まれた暗い廊下に響く。


「・・・ッ・・・た・・・」


着いた。
ただそれだけの言葉が音になれず、消えていく。
勝手に扉を開けばかち合う視線。



「やっぱり・・・グリムジョーだったのね。どうしたの?すごく辛そう・・・。」



おいおい。
いつもの笑顔はどうした。
それが見たくて来たってのに眉ひそめて心配そうな顔してんじゃねぇよ・・・。



「ねぇ、体調悪いならあんまり動かないほうがいいよ?とりあえずベッドに横になろうよ。ね?」



額に感じた織姫の掌の温度はいつの間にか俺の腕に移動していた。
そのまま引っ張られ強引に寝かされる。
立ってたときよりかは幾分マシな気分でぼやける天井を見つめると、織姫の顔が視界いっぱいに広がった。



「本当に辛そう・・・。ゆっくり休んでね。代われるなら代わってあげたい・・・ッ」



今にも泣きそうな表情で見てくる。
まるで俺が今すぐ死んでしまうかのように。
溢れ落ちそうな涙を拭ってやりたくて腕を上げようとしたが、上手く力が入らず拭ってやれなかった。
そのまま最悪な気分で眠りについた・・・。


海底でもがき苦しむような感覚が体を支配する。
必死に這い上がろうとしてもどんどん底のほうに引っ張られていく・・・。
しかしそれはいつの間にか自分を包み込むような心地よいものに変っていた。




「・・・ッ・・・」


「あ、まだ寝てたほうがいいと思うよ?ずっとうなされてたし・・・。」




気づけば織姫の豊満な胸が頭上にあった。
後頭部に感じる柔らかさは織姫の太もものようだ。



「あ、あ・・!ごめんなさい!勝手に膝枕しちゃってッ。ベッドの枕が合わなくてうなされてるのかと思ってつい・・・。」



律儀にこの状況を説明してくるが、若干恥ずかしいのか、頬を赤らめている。
そのままどこうとするもんだから、慌てて制止した。



「このままで・・・いい・・・。」



さっきまで掠れていた声がやっと聞き取れるくらいにはなっていた。



「グリムジョー・・・なんか今日は可愛いね。」


「・・・るせぇ・・・。」



この暖かさは夢の中で感じたものと同じなんだ。
体は最悪にだるいが、気分は最高によかった。



「まだ・・・熱はあるね・・。薬飲めそう?」


「・・・口移しならな・・・。」


「グリムジョーッ///」



もう少し体調崩しててもいいかもしんねぇな。
すごく・・・
落ち着くんだ・・。
お前の傍にいると・・・。




■End■







*アトガキモドキ*

やってしまった看病ネタ。
織姫の膝枕私もされたいよー!!
無意識に織姫のところにいくあたりグリ→織って感じですが、実は織姫もグリのこと無意識に好き。みたいな感じでグリ→←織風味で。
その感情に気づかないままほのぼのしてるグリ織が好きw


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