★小説★
□また会うときまで
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「ホァアチャァァァァァァ!!!」
バーーン!!
けたたましい叫び声と物音で万事屋は包まれた。
ダッダッダッ!!
音の発信地へ向かうのはこの家の主、というか借主の銀時だ。
「なんだッ!?どうした神楽!・・・!?」
銀時が目的地に着き、目に入ったものは破壊された押入れだった。
中には片足をはみだして宙ぶらりになって寝ているいる神楽がいた。
「はぁ〜。俺心配して損したわ。あのね、一体どういう寝方したら奇声を上げ尚且つ押入れを破壊できるわけ?」
どんだけ寝相悪いんだよ、と続く銀時の言葉とほぼ同時くらいに神楽は目を覚ました。
まだ視界の定まっていない、いかにも寝起きという顔で神楽は傍に立っている男を見た。
「んぁ〜?・・・銀ちゃん・・・?どうしたアルか?」
「どうしたもなにもお前がいきなり変な声出すからわざわざ来てやったんだろうが。それで?なに?一体どんな夢見たわけ?」
自分の寝床を壊すほどだ。
それなりの夢を見たんだろうと銀時は思って、神楽に聞いた。
「そうだ!!私すごいアルヨ!銀ちゃん!なんか軍隊に入って戦ってたアル!!私、軍で偉い人になってたヨ!」
「あーそうかい。」
興奮する神楽とは対照的に、銀時はもうどうでもよさそうに頭を掻くと、
「お前はいったいこの現代社会において誰と戦ってたわけ?心配するな、お前に敵う奴なんかそうそういねぇから。」
と言い残して自室へと帰っていった。
残された神楽は、まだ語り足りなかったのか少し不満そうに頬を膨らませ、
「何アルか。人間はみんな自分という名の敵といつも戦ってるネ!これだから天パは。天パバカは・・・。」
などと言いながらもう一度寝ようと寝転がっていった。
1分、二分と経っても神楽は寝れなかった。
体勢を変えてみてもやはりダメで、神楽はバッチリ目が覚めてしまっていた。
「仕方ないアル。もう起きるか」
神楽は開ける必要のなくなった押入れから出て、顔を洗いに洗面台へと向かった。
冷たい水を顔に浴びると、さらに眠気は飛んでいき鏡に映る神楽の目はパッチリと開いていた。
その後ボサボサだった髪をいつものように頭の横で団子結びにし、いつものように赤いチャイナドレスを着て、愛用の日傘を持つと、定春の散歩へと出かけた。