□小説□

□混ざり合う言葉
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「枯れた白薔薇の花言葉って知ってますか?」


いつ飾られたのかわからない。遠い昔だったような気もするしごく最近だったのかもしれない。
とにかく視線の先にある花瓶には一輪の白薔薇。
咲き誇っていた時間は過ぎ去り今では死を待つ老婆のよう。
あんなに綺麗だったのにね。
たった一輪でもその存在は大きかったのに。
部屋のメインと言ってもいいくらいだったのに。
すっかり背景の一部のようだ。
若さを失った白薔薇を見つめて、次にウルキオラさんを見つめて私は言った。


「枯れた白薔薇の花言葉は…『生涯を誓う』…素敵だと思いません?」


小さく「くだらんな」と聞こえた気がした。
あぁ、そうだ…。
貴方にとってはどうでもいいこと。
でも私にとっては大切な思い出の一つなの。
殺風景だった部屋にこの薔薇を飾ってくれた貴方。
気まぐれでもなんでも嬉しかった。
たとえ枯れたって捨てることはできない。


「生涯か…。ウルキオラさんとそんな約束できないや…。」

「…。」

「だってウルキオラさんにとっての私は小さな存在だもんね。」

「…ぉ…き…さ…。」

「え?」

「充分大きいさ。失うのが怖いほどにな…。」


意外な言葉に驚いたけど、そのあとのウルキオラさんの行動にもっと驚いた。


「な、にを…!」


何をしてるんですか。開いたままの口で呆然と流れるものを見ていた。
枯れてしまった白薔薇に近づいたかと思うと、ウルキオラさんは自分の爪で腕に傷をつけた。
スッ…っと、まるで鋭い刃物に切られたかのようにウルキオラさんの腕から血が静かに滴り始める。
ポタポタと緩やかに流れ落ちるその先には一輪の白薔薇。
ウルキオラさんの紅を吸収していくその姿は怖いほどに美しく感じた。
生き返ったわけではない。相変わらず萎れているというのに別の何かに生まれ変わったかのよう。
紅の斑点は白を侵し、私の心をも何かで染めていくようだった。


「枯れた白薔薇は『生涯を誓う』だったな?」

「はい…。」

「それなら紅色の薔薇の花言葉も知っているだろう…。」

「あ…、え…でも…。」


白から紅へと変化を遂げた薔薇を見届けるとウルキオラさんは血の流れたままの腕で私を抱きしめた。
白い服がウルキオラさんの血によって染め上げられていくのを頭の端で認識した後、至近距離にある顔が私と重なった。
唇の感触が私の脳髄まで溶かしていくようで、溺れてしまいそう…。
あぁ…、この人となら溺れてもいいかもしれない…。
だって、私だけじゃないもの。
溺れたいと思っているのは…。
紅色の薔薇の花言葉…
それは…。






死ぬほど恋い焦がれています





■END■






アトガキモドキ
ウル織ですからねコレ。
なんかそうでもないようか気がするけどウル織ですからね…!
ちょっと血とかでてきちゃったしどっちかっていうと暗い感じになっちゃったかな…。
文才が無いから表現の仕方もなんかしっくりこないし…。
ドンマイ自分w


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