□小説□

□君の印
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「あれ?大丈夫リクオくん・・・?」

「え?何が?」


この間行なわれた小テストが返されクラス中が一喜一憂する中、カナちゃんは自分のテストの点数よりも僕の首元、鎖骨あたりに興味を持ったようで僕に聞いてきた。
咄嗟に襟を引き寄せるようにして隠そうとしたけど、既に見らてしまったものは存在そのものまでは隠せない。
僕としては隠さなくてもいいと思うのだが、このままにするとカナちゃん以外の人にも気付かれてしまうし、勘のいい人はこれが何かわかってしまう。


「あー、コレ?ただの虫刺されなんだ。」

「もうすぐ冬なのにまだ蚊っているんだね。かいたりしちゃダメだよ?」

「うん。あ、カナちゃんはテスト何点だったの?」

「それが聞いてよー!今回はちょっと低めで・・・」


やっとカナちゃんの興味がそれたことでホッと一安心。
僕は隣でがっかりしながらテストのことを話すカナちゃんを見ながら、今はこの教室にいない少女のことを考えていた。
僕の肌に虫刺されをつっくた張本人を。
休み時間にトイレでチェックしてみたが、やはり僕の首元には痣に見えなくも無い小さく丸い紅色があった。
それを見ただけでニヤけしてしまう。
鏡に映る自分はこれでもかというほどに満足そうに笑っていて、自分でも少し気持ち悪いくらいだ。
それでも嬉しい気持ちは隠せない。


「やぁ、奴良くん!どうしたんだい?ずいぶんと機嫌がよさそうじゃないか!」


マイファミリーの喜びは僕の喜び!そう続けながら清継くんは僕の背中をバシっと叩く。
廊下に清継くんの声が無駄に響くなか、僕は背中にはしった痛みに顔を若干歪めながら返事をした。


「な、なんでもないよ・・・!」

「なんでもないのに君は笑いながら廊下を歩くのか?変わっているね。」

「あ、リクオくーん!」


清継くんに苦笑いしか返せないでいる僕を後ろから呼ぶ声がした。
振り返らなくてもわかるこの声の主。
学校でも家でもいつも一緒だからか、彼女の声を聞かなかった日はない。


「どうしたのつらら?」

「もうお昼休みなんでリクオくんを屋上に誘おうと思って。」

「そっか。もうお昼ごはんの時間か。」


僕とつららは屋上に向かおうと方向転換をたした。
そのとき清継くんが僕の肩を捕まえ首元をちらりと見て、そしてそのまま視線は僕に移動してきた。


「さっきから思っていたんだが・・・これ大丈夫かい?よければいい薬を紹介するよ!」


清継くんの言葉に真っ先に反応したのは僕ではなくつららだった。
反応といっても顔を赤く染めただけだが。


「おや?及川さんは熱でもあるのかい?よし、二人とも僕の知ってる最高の病院で治療してもらうといい!」


どこか得意げな清継くんはつららが頬を赤くする理由を知らない。
もちろん病気なんかではないから病院に行く必要も無かったので丁重にお断りするとその場に清継くんを残して僕はつららの手を引いてその場から離れた。


「うぅ〜、スミマセン。リクオ様・・・。」

「何が?」

「何がって・・・。その・・・首元の・・・。」

「どうして謝るの?僕は嬉しいくいらいだよ。」

「だって・・・やっぱり目立ちますし・・・。それにちょっと恥ずかしいです・・・。」

「でもこれはつららが僕につけてくれた印でしょ?」


いつもならこんなことをしないつららが僕の首元に吸い付いてきたときはびっくりした。
しかし嫌な気持ちは無く、されるがままにしていたらつららからの初めてのキスマークが肌に刻まれていた。


「僕はみんなに見せてまわりたいくらいだよ。」

「な、何言ってるんですか・・・!」

「そんなに赤くなる必要ないだろう?」

「だって・・・っ…!」


まだ何か言いたそうにしていたつららに掠める程度に口付けた。
ここは廊下で、まわりには普通に生徒がいるということもわかっている。
それでもしたくなったのだから仕方ない。


「リ、リクオ様・・・!こんなところで・・・!」

「今度は・・・」

「え・・・?」


口付けたばかりのつららの唇に自分の指を這わしながら、その指を首元まで持っていく。
くすぐったいのか少し身を捩るつらら。
なんて可愛いのだろう・・・。


「今度は・・・僕がここに僕の印をつけるからね・・・?」

「・・・目立たないところにお願いします…!」













目立ちたがりの愛印



■END■



アトガキモドキ
リクオの性格が違うよね絶対orz
でもそれくらいつららのことを愛してるんだよ我が家のリクオはww


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