★小説★

□予想外のディスプレイ
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「ねぇ…なんか…音変わった?」

「は?」


何か違和感を感じると思っていたらヒル魔くんから発せられる音が変化したのだ。
ヒル魔くんからといってもパソコンの音なのだが。
さっきまでは確かキーボードをかたかたとリズミカルに叩く音がしていたのに、今ではその音は無くなり控え目なクリック音しかしなかった。
いつものヒル魔くんならデータ整理をしているときはクリック音だけでは無かったはずだ。
それに気づけるのは長いこと一緒にいるせいかもしれないが…。
なんとなくこちらの手元の動きが鈍くなってしまったのはきっとこの変化のせいだと勝手に自己解釈した私はヒル魔くんに聞いていた。


「今日はデータの整理じゃないんだ?」

「何でそう思うんだ?」

「クリック音しかしなかったから…。」

「だろうな。」

「だろうな。って…。じゃあ何してるの?」

「お前は俺がやってることに興味を持てるほど暇なのか?」

「あら、もう少しで終わるわよ。あとは部活日誌を書けば終わりだもの。」

「だったらさっさと終わらせろ。」


話してる間でさえ一度も私のほうを見もせずに目の前の画面ばかり見つめているヒル魔くん。
それが嫌で私はあからさまに不満を顔に出した。


「何ふくれてんだよ。」

「どうしてわかるのよ。」

「わかりやすいんだよテメェは。」


私のことを見てもいないのにすべてを見透かされている気がしてなんだか悔しい…。
私はヒル魔くんが見つめている先を覗こうとした。
が、すぐにノートパソコンは閉じられてしまいヒル魔くんが何をやっていたのかはわからなかった。


「何覗こうとしてんだ?」

「どうして隠すの?」


質問を質問で返し会話が成り立たない。
隠されたことで余計に気になってしまう。
見たくて見たくて。
でも見せてくれないヒル魔くん。


「はぁ…。そんなに見たいか?」

「うん!」


溜息をつきながら閉じたばかりのノートパソコンを開くヒル魔くん。
焦らされたことで一際ドキドキ感が増し、表示されている画面を好奇心いっぱいの目でのぞいた。


「え?…なにコレ…?」


そこには予想もしていなかったものがあった。


「コレ…私?」

「お前じゃなかったら誰だよ。そっくりさんか?」


理解しきれないでいる私にヒル魔くんは作業を続けていた。
いつの間に撮られていたのか、私の写真がたくさん表示されていた。
一枚も目線が合って無いところを見るとどれも私の了承を得て撮ったものでは無いらしい。
第一そんな記憶もない。


「なんで私の写真が…?この中にあるのよ?」

「惚れた女の写真の一枚ぐらい男なら誰でも持ってんだろ。」

「でも…ちょっとびっくりしちゃった…。私、ヒル魔くんに愛されてるのね?」

「ったりめーだ。何今さらなこと言ってやがる。」

「…!」


冗談で言ったつもりだったのに真剣に返されてしまい思わず顔が熱くなる。
しかしそれと同時に嬉しく思っている自分がいた。
恥ずかしさからなのか、嬉しさからなのか、湧き上がる熱は行き場を求めて彷徨っている。


「糞マネ。」

「またその呼びかた…。」

「・・まもり、」


一瞬にして私の瞳が映すのはヒル魔くんだけになり、私の名前を呼んでくれたその唇が近づいてくるのに時間はかからなかった…。




■END■


アトガキモドキ
なんかストーカーみたいなヒル魔さんになっちゃってゴメンナサイorz
これは愛なんですよ!
決して盗撮ではない…!


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