*小説*
□君と舐め合う
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学校に到着し鞄を置いて自分も座ろうとしたとき、幼馴染の声がしてそちらを向いた。
カナはにこにこと笑いながらリクオの手に何かを置いていく。
「はい、リクオくん。」
「え?何これ?」
「見ればわかるでしょ。ただのキャンディーよ。」
「…くれる、ってこと?」
「そういうこと。」
カナは細い棒のついた飴をリクオに渡すと自分は違う飴をなめ始めていた。
リクオの貰った飴の棒の先端はピンクの包装紙にくるまっている。
よくスーパーやコンビニに見かける普通のキャンディーだった。
「ありがとう!でもいいの?貰っちゃって?」
「うん。私その味あんまり好きじゃないから。」
「そうなんだ…。じゃ遠慮なく貰うね!」
眼鏡の向こうからでもハッキリとわかるくらい瞳を輝かせてお礼を言うリクオにカナも笑顔で返す。
先生が教室に入ってきたのはその直後で、二人とも座席に戻っていた。
*************
「リクオくん!お弁当食べましょ!」
「ん〜。」
「はぅ…!?リクオくんタバコ吸ってるんですか…!?」
「へ?」
「だって…その白いのは…」
昼休みになり騒がしくなった教室につららが入ると、一番に目に入ったのがリクオだった。
というよりも、リクオの口に咥えられているものだった。
白く細長い棒がリクオの口から出ている。
パッと見ではタバコに見えるかもしれないが先端は燃えていない。
「あぁ、これ?ただの飴だよ。ほら。」
リクオは勘違いしていたつららを面白そうに見てから口の中から飴を出した。
ピンクの色をした丸い物体が姿を現す。
「ただの飴ですか。はぁ…びっくりしました…。」
「ごめんごめん。驚かせたみたいで。」
「でもリクオくん飴なんて持ってましたっけ?」
「朝カナちゃんに貰ったんだ。」
リクオの幼馴染であるカナから貰った飴だとわかるとつららは無性に苛立った。
ちらりと視線を動かしながら教室の中を見渡す。
すぐに見つかった。
カナもつららを見ていたからだ。
いや、つららをというよりリクオを見ていたのかもしれない。
とにかくバッチリと目が合った。
つららとカナの間には静かな火花が散っているかのように瞳が感情を剥き出しにしている。
しかしそんなことには気付いていないリクオは再び飴を口の中に入れて甘い味が広がるのを楽しんでいた。
その間もつららは無言でカナを見続けている。
「つらら?どうしたの?」
ようやくつららの様子がおかしいことに気づいたリクオはその視線の先を追っていく。
そしてカナを見ていることに気づいた。
「もしかして…カナちゃんのこと見てるの?」
「い、いえ…。そんなことは…。」
事実を当てられぎくりとする。
仕方無くつららはカナから視線をずらしリクオを見つめた。
「はい。あげる。」
「…え?」
リクオは飴をつららの顔の前に持ってきていた。
最初の大きさと比べればだいぶ小さくなったが、鮮やかなピンクは輝きを失っていない。
「飴が欲しいからカナちゃんのこと見てたんでしょ?僕のあげるからさ。ね?」
「えっと…、」
まずはリクオの考えが間違っていることを正すべきか。
それとも間接キス直前の飴をどうするか考えるべきか。
つららは飴が欲しくてカナを見ていたわけではない。
ただリクオに近づく存在だから敵視しているだけ。
しかしリクオはそんなことには気付いていない。
「…いらないの?」
「あッ、もちろん頂きます…!」
リクオの寂しそうな顔につい貰うと言ってしまった。
「じゃあ口開けて?」
「…自分で食べられますよ?」
「いいから。」
「はい…。」
大人しく上下の唇を離し薄く開くと、入り込んでくるのは硬く甘い物体。
「どう?」
「甘い、です…。」
「そっか。」
本当は味よりも別のことが気になって仕方が無い。
ついさっきまでリクオの口の中で溶けていた飴は今ではつららの中で転がっている。
そういうことを意識しているのは自分だけなのかと思うと恥ずかしくもあり、少し悲しくもなる。
まともにリクオと目が合わせられなかったつららは床にあるゴミに目を向けていた。
「これってさ…」
ふとリクオから声が漏れた
床からリクオへと視線を移すと、にやりと笑う悪戯っ子のような瞳と出くわした。
「間接キスなのかな?」
「えっ…!?」
「あ〜でもちょっと違うかも。間接キスよりも上な感じがする。」
「上…?ですか?」
「うん。だって二人で同じものを舐め合ってるんだよ?間接キスよりも激しい感じがしない?」
「そっそれは…」
「僕はつららとならいいけどね。」
むしろ大歓迎?と疑問形で付け加えるリクオにつららは白い頬を一瞬で赤くした。
「私も…リクオ様となら…大歓迎です。」
ピンクの飴は恋の味!
■END■
アトガキモドキ
ちょっと中途半端な感じ?
だって終わりかたが見つからなかったんだもの…!
きっとカナちゃんはずっと二人の様子を見てたんでしょうね〜
自分があげた飴をリクオがつららにあげたときはきっと苦しい思いをしてるといいと思います。