○小説○

□側には君が
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『若が寂しくないようにずっと側にいますね!』







太陽が真上まで登った
けれど僕の気分は地面スレスレ
何故ならつららがいないからだ

僕は倒していた体を起こし首を鳴らした

「はぁ…。」
「どうしたんですか、リクオ様。雪女ならすぐに帰ってきますよ。」
「うん……それはわかってるんだけどさ。」
「大丈夫ですよ。黒も一緒なんですし、ね。」

少し離れた所にいた首無
僕の心配事が何かすぐにわかったようで安心させるようにそう言った

何故つららが今ここにいないのか…

それはおじいちゃんのお使いで遠出しているからなのだ

それの何が気にくわないのか…

また僕は体を倒して目を瞑る
思い出すのはあいつの隠しきれていない嬉しそうな顔




そうだ、なんでお使いのメンバーがつららと牛頭丸なんだ


首無の計らいで黒も同行することになったんだけど、やはり心配だ
こんなに心配になるなら無理にでもついて行くべきだった
そう後悔しても時既に遅し

気をなんとか紛らわそうと今度は寝返りをうった


「はぁ〜…。」
「どうしたんですか?」
「別に…何も。」
「そうは見えませんが…。」
「いいんだよ、気にしないで。」
「そうですか。では、お茶でも入れますね。」
「うん。ありがと…


って、えぇぇっ?!」

僕はガバリと起き上がった
そしてバッと声の主を見る

そう、見なくてもわかるその人物はつららだった


「えっ、な…なん、で?」
「うふふ、若ったら。やっとこっち向きましたね!」
「え、隣町にいったんじゃ…。」
「えぇ、行ってきましたよ。」
「は、やく…ない?」
「急いで行って、急いで帰ってきましたから!だって若は寂しがり屋ですからね。」


そう言ってつららはまたくすりと笑った
僕は開いた口がふさがらない

そんな僕の顔を見てさらにつららは笑う


「若がまだ小さい時に約束したじゃないですか。寂しくならないように側にいますよって。」
「う、…ん……。」
「もしかして覚えていないんですか?」
「えっ?!お、覚えてるよ!僕がかくれんぼで泣いた時でしょ!!」


つららが悲しそうな顔をしたのでかなり焦った
忘れてなんていない
忘れたことなんてない
未だにあの時の笑顔がちらついてならないのだから
むしろ僕はつららが覚えていてくれたことに驚いたのだ


「小さい時のことだから、つららが忘れてると思ってて…」
「忘れませんよ。あの時の約束は私の中で永久保証をつけましたから!」
「つらら…」

つららが僕の手を優しく握る
その手を僕も握り返した


モヤモヤした気持ちは跡形もなく消え去り、暖かい気持ちが広がる
そして優しい風が僕たちを包んだ…






側には君が
もう二度と、
寂しくなんてならないよ











瑠依様より30&31万打祝いに頂きました。
瑠依ー!こんなに素敵なリクつらをありがとう!
つららがいないとダメダメなリクオとか、ちゃっかり嬉しそうな牛頭とか、とっても可愛かった!
本当にありがとう!
一生家宝として大事にします!

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