◆小説◆

□それが人生の分かれ目だと知らずに
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いつもと同じの
毎日が
あなたと出会って
変わり始める、





『それが人生の分かれ目だと知らずに』





「じゃ、行ってきまーす!」

とことこ歩いて向かうはおばあちゃんの家。

逢うのは久々だ。
しかし、うきうき気分ではいられない。
今日はお見舞いへ行くのだから。

自然に歩調も早くなる。


「ふう…案外遠いわね…」

もう日が暮れて、周りは薄暗い。

しかし五分もすると家の明かりが見えてきた。


ドアをノックして
「おばあちゃん!まもりよ、お薬持って来たわ」

中からの返事はない。

が、ごそごそと物音が聞こえる。


「……?」


「おばあちゃん…?」


そっとドアを開けてみると、誰もいない。

疑問には思ったが、薬を届ける事が先決だった。


寝室へ行き、おばあちゃんの様子を伺う。
ベットで寝ているようだ。

「おばあちゃん、まもりよ。お薬持って来たわ」


「……。」


返事がない。
「待ってて、今お水を持ってくるわ」

そうして立ち上がった所に急に強い力で腕を引かれる。


「?!きゃっ…」

腕を引いたのはおばあちゃんじゃない。

目つきの鋭い狼だ。

…案外かっこいい、かも
(なんて言っている状況じゃないけど)


「ケケケ、こりゃなかなかの上玉だな」

「な…」

「食われたくなきゃ大人しくしてろ」

「?!あなた誰?!おばあちゃんをどこにやったの?!」

「知らね」

「!あなた…もしかして…?」

「あ?あんな糞しわくちゃババア食うわけねーだろ。…ま、食うとしたらテメーだな」

「!!」

「ケケケ!!なんだ?食われるのが満更嫌じゃねーみてーだな?」

「…あなた一体何なのよ!」

「てめーの糞ババアの知り合いの優しい狼さんデース」

「私のおばあちゃんに狼の知り合いなんていません!」

「ケケケ、威勢のいい奴だな、ちょっと黙れ」

「は?!何……?!」


目の前の狼が視界いっぱいに広がる。

口を塞がれ声も出せない。

ってこの状況って……

「…っ///離してっ!」

「ケケケ、初めてか」


………恥ずかしい。
顔が熱い。

「…ッ///」

「……あー、テメーまだ知らなかったのか」

「何…?」

「ホントに何にも知らねーのか?」

「……?」

「テメーと俺が結婚する話」













…この狼は何を言っているんだろう?

私の頭がどうかしてしまったのだろうか?






「何呆けてやがる。テメー、自分が狼と人間のハーフだって事も聞いてねーのか?」

「…は?」

「テメーの親父は狼。つーかお前の家系は代々俺の家系と結婚するんだろーが」

「…え、?」

「そうしないと俺らの家系は滅亡…」


「…め…つぼう?」


「あぁ。『赤ずきん』っつー童話、知ってんだろ?その話で狼が糞赤ずきんを食っちまったから、なんか呪いみたいなのを―――。」








??

何にも知らない、

わからない、

きっとこの狼は嘘を言ってるんだわ。

うん、そうとしか取れないもの。


「これはテメーの糞ババアからの手紙だ」




…恐る恐る封を開ける。

………狼の言っている通りの事がおばあちゃんの字で書かれている。


信じるしか…



「で、テメー…どうなんだ?」

「…え?」

「俺と一緒になる気はあんのか」

「…。」


そりゃ、最初はかっこいいとか思ったわよ。
でも…


「俺は結構気に入ってるぜ?まもりサン?」

ケケケ!と笑いつつからかう狼。

「!!////そ、そういえば名前聞いてないわ…。」


「ヒル魔妖一、今のとこ狼のボスだ。ヨロシクオネガイシマス。」


「私は姉崎まもりよ。よろしくね、ヒル魔、くん」




「…で、結局どうするんだ??」






選択肢は二つに一つ。
人生の分かれ道





「…いいわ、あなたに付き合います。」



たとえそれが間違った道でも、




(っていうかね、なぜか初対面の気がしないの、よ)

(あー、俺もそう思った)









*********

さつき。様から相互記念で頂きましたw
私のわがままなリクを叶えてくださりありがとうございます!
二人ともこのあとは幸せに暮らして、子供が出来て、森で仲良く暮らしてると頭の中で妄想してます(笑)
本当に素敵な作品ありがとうございました!


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