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□フラスコの中の小人(ホムンクルス)
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そして、名を与えられた




奴隷23号は、ホーエンハイムとなり




ホムンクルスに知識を与えて貰う為




毎日勉学に励んだ





「全てのものは一から造りだされ」




「一へと返って行く
即ち、一は全、一により全があり」




「一の中に全がある」




「一の中に全を含まなければ全ては無なり」




「...合格だ
最早立派な錬金術師だなホーエンハイム」




ホーエンハイムの師は少年の腕を認めたのだった




「まだまだ助手の域は出ません
ご主人様の腕前には
程遠いです」




すると男の掌にあったフラスコの中にいた




ホムンクルスが目を開いた




「...ほう...」





――――――――――




時は夕暮れ、




ホーエンハイムとホムンクルスが会話をしていた




「感謝してるよ」



「何が?」



「知識をくれたお陰で
こうしていい暮らしが出来ている
ご主人様の覚えもめでたい
いずれ誰かと結婚し、
家庭を持つことだって夢じゃない」




「家庭ねぇ...人間は不便だな
そうやってコミュニティーを持って
繁殖せねば、種を存続できない」



「繁殖とか言うな
お前から見たら
バカバカしいかもしれないけど
家庭とか仲間とか
そういうものに幸せがあったりするんだよ
俺たち人間は」



今のホーエンハイムは良い服を



良い寝床を貰っているようだ




表情も穏やかだった




「そんなものかねぇ?」



「じゃあ、お前の幸せってなんだ?」




「そうだな、贅沢は言わないが
このフラスコから出られる身になれば
幸せかな」




2人は夕日が沈むのを




静かにじっと見つめていた





――――――――





「...不老不死...
どうして権力と栄華を極めた奴が
そっちに行くのかねぇ...」




「口を慎め!!
大公の御前であるぞ!!」




ホムンクルスはなぜか王の前に連れてこられて




不老不死の話を持ちかけられていた




「無礼を働けば
そのフラスコ叩き割る!!」




「キミ達が知り得ない知識の源を
壊すのかい?」



「「なっ...!!」」




「無駄口はいい
不老不死...出来るのか
出来ないのか?」




最早年老いたクセルクセス王



不老不死の法を知るために




ホムンクルスを呼び出したようだ




「老いによる焦りか...悲しいね
クセルクセス王」




「.........」




「いいよ
不老不死の法
教えてやろう」




何かを企んでいるのか否か分からないが




ニヤリと不気味に笑う



ホムンクルスだった




―――――――――




ある日、村中で何か作業が行なわれていた




作業員はセッセと穴を掘っている




「何の工事なんだ?」



「灌漑用用水路だよ
国王の命で
国中に水路を張り巡らすんだ」




「さすがクセルクセス王!」



「ワシ等
下々の事もよくお考えだ」



「そうだな」




嬉しそうに、作業員と話をしている村人





しかしある日の夜...事件は起きた




「いいか?
一人残らず始末しろ」



「「「はっ!!」」」



馬に乗った数十人が返事をした




そして、弓に火を灯し




そのまま村家に放っていく




眠っていた村の民が騒ぎに起きるが




乗り込んできた人たちに次々と殺されていく



各村が次々に焔に包まれ




血が流れていった...




「急げ!早く!
早く血の門を刻むのだ」




この戦は




クセルクセス王が不老不死となる為のものだったのだ



























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