U

□フラスコの中の小人(ホムンクルス)
7ページ/8ページ



「はっ!!」



列車の中で夢から覚めたホーエンハイム



なんとも目覚めの悪い夢だ




「はぁ〜...」



つい重いため息が出てしまう




「ホーエンハイムさん?」




すると偶然同じ列車に乗っていた



イズミが話しかけてきた




「やっぱり!」



イズミはこっちを向いたホーエンハイムの顔を




もう一度確かめると



後ろにいたシグに笑いかける




3人は下車する駅まで一緒に話をした




そして下車する駅も同じで




途中も一緒に話をしていた




「いやまさか
エドとアルの親御さんだったなんて」




「そちらこそ
息子達の師匠(せんせい)だったとは...
大変世話になったようで
ルルちゃんまでも...」




「いえいえ
気にしないで」




困った表情で笑うイズミだったが



急に咳き込みだした




「...ゴホッ!
ゴホッ!ゴホッ!」




「イズミさん...?」



ついにイズミは地面に座り込んでしまった




「イズミ!大丈夫か!?
薬を...!」




心配そうに駆け寄るシグ




「ゴホッ!ゴホッ!」




「イズミさん...
私は医術を少しかじっている」




シグはその言葉でホーエンハイムを見た



ホーエンハイムはイズミの背中を撫でた




「大丈夫...いつもの事だから」




「ん?
これは大丈夫じゃない!
シグさん!
車を拾ってきてください!
早く!」




「おっ...おう!」




シグは急いで立ち上がって、




走って車を拾いに行った




それを見届けたホーエンハイムは口を開く




「イズミさん、あなた真理を見たね?」




「!」



「何を犠牲にした?」




「......」




イズミは目を反らして黙った




「誤魔化さないでくれ」




「中を持っていかれた...
死んだ子どもを蘇らせようとして」




イズミは腹に手を当てて俯いた



「...そうか...そうか...」




ホーエンハイムは目を瞑って辛さを感じた




「ちょっと失礼...」



「?」




するとその瞬間




急にイズミの腹に手を突き刺すホーエンハイム




ドッ!!!!




「!!」




ズズズッ!!!




更に奥まで指が突き刺さった




「ゴハッ!!!」




大量の血を吐くイズミ



イズミは力なく倒れた




その様子を見たシグが怒りに走り出し、



ホーエンハイムを殴り飛ばす




ドッ!!!




「狽、ぉぉっ!!?」




ホーエンハイムの眼鏡が吹っ飛んだ




「イズミ!!しっかりしろ!!
イズミ...!」




シグが倒れているイズミを起き上がらせた




「あんた、落ち着いて!大丈夫だから」



「腹刺されたんだぞ!!」




「でも、呼吸が...楽になった」




「見せてみろ」



「......傷、無いよ」




イズミが腹に手を当てて




傷を見るが、跡形も無くなくなっていたのだ





「そんな馬鹿な...」
































次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ