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□奈落
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外を見ると、どうやら



キンブリーの方が動き出したようだ




「作戦はここにいるメンバーのみで行なう
北方司令部達にも極秘だ」




「ちょっ!
マイルズ少佐!
しとめるって殺すって事か?」




エドが思っていたことを聞いた




「当然だ」




「殺すのには賛成できない
術を封じて、情報を吐かせた方がいい!」




「あれが素直に吐くと思うか?
生かしておくのは危険だ」




「じゃ奴の部下は!」




『あの人達もキメラ化されて
仕方なく従っているだけかも
しれないんですよ!?』



「...そうだな
だがあくまでも“かもしれない”だ」



『疑わしいというだけで
殺すのですか!?
レイブン中将の件にしたって他にもやり方が...!』



「ブリッグズの掟を忘れるな
油断すればやられる
キミ達のその甘さが
キミや仲間の命を奪う事になるかもしれんのだぞ」



エドは目を開き、ルルは俯いた



その後のエドも何も言えなくなってしまい



俯いてしまった



「迂闊者はこの地にいらん
キンブリー他2名
始末させてもらう」



そう言って、マイルズと部下2人は出て行った



エドは拳を握り締めて眉間に皺を寄せていた



『エド......』




――――――




廊下を歩いていた3人は



先ほどの2人について話していた



「なんだかんだで子供ですね」



「そうだな
この世界で殺さずという考えが甘い」



「でも私にもありましたよ
ああいう時期が」



「ふふっ
私もだ」



3人はついニッコリと笑ってしまっていた



「この歳になって
いくつかの戦いを経験すると分かる
殺す事より
生かすことの方が難しいとな
エルリック兄弟はその困難な方を選んだ」



「物好きな奴等ですね」



「あぁ
だが少し羨ましくもあるよ」



マイルズはまた微笑んでいた




―――――――




その頃地下では



一行は休憩中だった



休憩をしながらも少しずつ研究所を解読していく



「このラサーヤと言うのは?」



「長寿を得る
霊薬のことだ」



「うぅ〜ん...
賢者の石のことかな...
えっと...全ての金属を金に変え、
老人を青年に変える
このアウレリアン...とは?」



「金を意味する」



「不老不死と金についてばかりだな...」



メイも、マルコーの手伝いをしていた



「この書を書いた、スカーさんのお兄さんが
シンの練丹術に影響を受けたからですかね?」



「と、言うと?」



「シンでは不死の人を真(まこと)の人
真人(しんひと)と呼びます
完全な人という意味なんですが
金も完全な金属であることから
真人のことを金人(きんひと)と呼ぶこともあります」



こう言うことには専門外な



ウィンリィとキメラの2人は



頭の上にハテナばかり浮かんでいた




「成る程...完全な人は金の人か...
一説には、シンに錬金術を伝えた人物が
金の髪、金の瞳の不老不死の男だったことから
そう呼ばれるようになったとか」



「へぇ〜
金の髪、金の瞳なんて
エドとアルとルルみたい」



ウィンリィは3人のことを思い出して



ニッコリ微笑んだ



すると、先を見に行っていたヨキが戻ってきた



「おい!みんな来い!
出口だ!」



そして一行は出口へと向かい



外に出ると、雪は積っていたが晴れていた



「眩しー!」



「無事に山を抜けたか...」



「いい天気だ」



「今のうちにブリッグズへ向かおう!」



「よしお前等
私について...狽、おわっ!!!」



ヨキが前に進んだ瞬間



雪にはまって、埋もれてしまった



「結構雪が深いな」



「お嬢ちゃん
背中に乗りな」



キメラの一人がメイにそう言った



「俺達が踏み固めて
道を作るから
その後から来るといい」



大きなキメラの一人はとても親切だ



「ありがとう」



そして一行は山を降りていく



「おぉ〜〜〜〜い!!」



するとどこからか、篭った声がした



「!」



ウィンリィが足を止めて後ろを向く



「お〜〜い!
ヘルプミー!!!」




キョロキョロ辺りを見回すと



雪の中から足だけが出ていた




「!!
買Aル!!!?」



「アルフォンス様!!?」



メイとウィンリィが慌てて駆け寄り



埋まっているアルを掘り起こした



「ぶはぁっ!!
助かった〜...
深みにはまってそのままうもっちゃったよ」




「なんでアルがここにいるの?」




「山越えして先回りしたんだ」




「山越えって...あの吹雪の中を?」



ヨキは持っていた地図を広げた




「なるほどねぇ〜
迂回せず真っ直ぐ来たってわけか」




「なぜそんな無茶を...」




「緊急連絡があって...」



「緊急連絡?」



「ブリッグズ砦に中央軍が入った
アームストロング少将が
セントラルに呼び出しを喰らったらしい
だから今砦に行くのは危険なんだ」

























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