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□約束の日
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―――所変わって、アームストロング家




「父上、隠居なされよ」



オリヴィエの第一声はこうだった



キラーンと顔の周りを輝かせている父



長い机の一番向こう側から父が話をする



座っている父の後ろには、母と妹が一緒だ



「オリヴィエ
久し振りに家に寄ったと思えば
いきなり何を言い出すのだ...?」




「家徳を私に譲り
余生を、ゆっくり過ごされよと
言っておるのです」




「ワシの後は
アレックスに継がせるつもりだ」




「あのような腰抜けに...?
私に全てを譲り、外国でゆっくり
バカンスなどいかがですか?
アレックスなどでは
アームストロング家に泥を塗るだけです」




コンコンコン




「ん?」




オリヴィエが、ノックの音がした扉を見ると




噂をすれば影、アレックスがやってきた




「姉上
帰っていらしたのですか」




「おぉ!
アレックス
丁度良い」




「はい!」




思わず父親が立ち上がった




「オリヴィエと戦え」



「はぁ?」



突然の提案に目を丸くするアレックス




「勝った方に家徳を譲る
それで良いか?
オリヴィエ」




「はい
臨む所です」




シュッ



オリヴィエは立ち上がって、剣を抜いた




「な...」




「オリヴィエがこのワシに
隠居して他所に行けと言うのでな」




「なんと...!
む...っ
父上に対して、何たる無礼か!
姉上...!」




アレックスも気合充分で服を脱いだ




「いいでしょう!」




バサッ!!




そして構えるアレックス




「我輩の全身全霊の練金法を持って
お相手致す!」




ジャキンッ!!




「いい度胸だ
アレックス!己の未熟さを思い知るがいい!」




オリヴィエも剣を構える




ダッ!!



「ふんっ!!」




ガィィンッ!どごぉぉんっ!!




「さて、行きますか」




「「はい」」




母と妹が返事して、準備を始めた




そして母が、壁にある金庫を開けて




中から大量のお金を取り出す




いまだにオリヴィエとアレックスは戦闘中




「で、何処へ行こうかね?
バカンスに」




「シンはいかがかしら?アナタ」




ありったけのお金を鞄に詰め込んだ母が言った




「食べ物が美味しいと聞いていますわ」




「ではそうしよう
キャスリンも良いね?」




「はい
お父さま」




そして3人は部屋から出ると




「ふんっ!!」




ドガシャン!!!




「うごっ!!!」




扉を突き破って、アレックスが吹っ飛ばされた




それを見たキャスリンが足を止めて




2人の戦いをじっと見ている




オリヴィエは倒れているアレックスの腕を掴んで、




部屋の中に引きずり込んでゆく




「OU!!NO――――――!!!!」




ペシペシッ!




アレックスは地面を叩いた




「ま、待たれよ...っ」




「待った無し!」




オリヴィエはアレックスの首を掴んで




刀を顔に近づけている




アレックスは苦しそうな表情だった




「殺す気ですか...っ」




「今頃気付いたか?」




するとキャスリンが扉から顔を覗かせて




2人に手を振った




「兄様
頑張ってね♪」




そしてニッコリ笑って、キャスリンは出て行った




「お二人のお土産はどうしましょう?」




キャスリンが両親に聞いた




「象なんてどうだ?
デカイし強いぞ」




「象なら私が欲しいですわv」




「おほほほほ」



「ほっほっほっほ!」




「うふふふふ」




3人は笑ってシンへと旅立った




バシャン!!!




アレックスが噴水の水の中に吹っ飛ばされた




「うごおっ!!
ごぼぼぼぼ...」




しかし容赦なくオリヴィエからの攻撃が降り注ぐ





「NO―――――――――!!!!!」




それからは




アレックスの叫び声が邸中に響き渡ったとか...




ドゴォォォン!!




吹っ飛ばされて、力尽きたアレックス




「決まりだな...」




ガチャン...




剣を鞘へと戻した




「アームストロングの全て
私が貰い受ける」




コートを翻して、去っていこうとするが




アレックスが止めた




「姉上...っ
最近、軍上層部と懇意にしていると聞きます
なぜです?あの上層部は...」




「私は自分の目で見て判断している」




「それを見た結果
父上たちが人質に取られぬよう
国外へ出したのですか?」




オリヴィエの口角が上がった




そしてまたツカツカと歩き出す




「...敗者は去れ、この館は私の物だ」




その後姿をただ見ているアレックスだった


























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