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□約束の日
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シュゥゥゥ...




汽車がある町で止まった




ここは「ユースウェル」




以前、ヨキが統括していた街だ




メイはシンへ戻るため東の街へ




ユースウェルが通り道なのだ




布に包まれた瓶を手にもっている




その中には小さな生物、エンヴィーがいた




するとそこに6人の人がやってきた




「お嬢ちゃん
どこ行くんだい?」




顔を上げるメイ




その人物はエド達もお世話になった




ホーリングという男だった




「ここは東の街だ
この先には砂漠しかねぇぞ?」




「あの...
これから国に帰ろうかト...」




「国?」




「はイ...シンへ」




「砂漠を越えてか?」




「はイ」




するとそこへ一人の少年がやってきた




その少年はホーリングの息子のカヤル




「女の子ひとりで砂漠を越えるのか?」




「はい」




なんだかいつの間にか人だかりが出来ている




全員が驚いたように、それぞれ声を出した




「おいみんな!!
タンパだ!食いモンでもなんでも出してやれ!!」




ホーリングが声を大きくして言った




「えっ!?
そんナ...!」




「遠慮すんなって!」




「一晩泊まって、明日出発したらどうだい?」




「ウチでお風呂入っていきなよ」




「お腹空いてねえか?」




「そうだスティーブ
お前んとこ部屋多いだろ?
泊めてやれよ」




「おぉ!いいぜ!
上の娘が使ってた部屋が空いてる」




「セントラルの大学に行った
エミーか!」




「お前の娘にしちゃ
上出来だよな!」




「だろ?」




ムギュッ




すると肩に乗っていたシャオメイが




おばさんの手に握られてしまった




「キーッ!!」




「こっちの猫ちゃんにも
何かあげなきゃ」




「シャーッ!!シャーッ!!」




「あら
お腹空いてるのねぇ!」




「お前をエサだと思ってるんじゃ...」




「バカ言ってんじゃないわよ!!
そんな事ないわよね!
猫ちゃん」




「シャーッ!!」




「ほら
美味そうって!」




「「「ははははははっ!」」」




一人で砂漠を渡ると言うメイに



街の人は、初めて出会うのにも関わらず



親切にしてくれる



その優しさに涙するメイ




瓶に涙が落ちて、流れてゆく




それに気がついたエンヴィーは上を見上げて




メイの顔を見た





「いいヤツらだね...
見捨てるのか?」




「!」



「ま、それもいいけどね!
但し、こんな死に損ないの
ホムンクルスなんて持ち帰ったところで
なんの役にも立たないと思うよ
でも、セントラルに行けば
本当の不老不死の法を知ることが出来るよ
ここの連中も助けられるかもね
...まぁいいや
これから国に帰るお前には
関係無い話だもんね」





その言葉でしっかりとした表情で




周りの人たちを見渡した




シャオメイがメイの肩に戻ってくる




「皆さん!!
ご厚意ありがとうございまス!!」





ダッ!!




メイは方向を元来た道へと戻して走ってゆく





「どこ行くんだい!?」




「やり残したことがあるので
セントラルに戻りまス!!」





タタタタタッ!!





しかし、エンヴィーは瓶の中で笑んでいた



「(バカめ...
セントラルに行ってくれれば
こっちのもんだ
賢者の石さえあれば、また変身できる...
石さえあれば......)」
























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