月輝

□DEATH
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「...終わりにしようぜ」




ゴウッ!!




「俺が勝って
終わりだ!!!」




恋次の額に冷や汗が流れ出た




黒崎が刀を構えて




恋次目掛けて、刀を振り下ろした




「(間に合わねぇ!!)」




シュゥゥゥゥゥ......




「!?」




振り下ろされたはずの刀が




刀身がなくなっていた




「(何...だ!?
刀身が...消えた!?)」




黒崎だけでなく、恋次までもが驚いていた




「(違う
こいつは何もしてねぇ)」




黒崎は前にいる恋次を見たが




恋次の表情を見て“何もしていない”と解釈した




残るは1人、後ろを振り向いた




ルキアの入る所よりも更に向こうに




白哉がいた。その手には、黒崎の刀の刀身があった




「!!
(あいつか!?
まさか!!
あんな間合いから何もできる筈が無え!!)」



カン...ッ...カンッ!



白哉が刀身を手放し、地面に落とす




すると横にいた少女が口を開いたのが見えた




何を話しているのか黒崎には分からない




話していた内容はこうだった...。




『私が行きましょうか...?』




「...良い
兄が霊力を使うほどの
奴ではないだろう」




『......』




白哉が腰にある刀に手を伸ばした




「(来るか!?)」




黒崎は構える




が、しかしそれは無意味




一瞬であれだけ離れた場所から




白哉は黒崎の横を通り過ぎただけ




黒崎は目を見開いた




ルキアと恋次も目を見開く




白哉がストッと地に足をついた




黒崎の瞳が捉えたのは信じられない光景だった





そして




ドッ!!!




と黒崎の胸の辺りから血が噴きだした




黒崎は静かに前へと倒れていく





「(なんだよ これ
やられたのか?俺
後ろから刺されたのか
前から刺されたのかも
わからねぇ
痛ぇ...)」




白哉はスッと黒崎の横に立った




「鈍いな
倒れることさえも」




「白哉兄様!!!」




ドッ!!!




刀が黒崎の背を突き刺した




恋次は目を見開いたままだ




「(久々に見た
やっぱり凄ぇ...
辛うじて動きを目で追えたのは
今の第二撃だけ
初撃は剣を抜いた瞬間も
収めた瞬間さえ見えなかった
オレでこのザマだ
こいつなんか
何が起きたのかも理解できちゃ
いねェだろうな...)」




黒崎は完全に地面に倒れてしまった




「(.........
...それにしても...
さっきまでのコイツの
異常な霊圧は一体...)」




サッ




『...どうしましたか?
阿散井副隊長』




満月が恋次の横に瞬歩で現れた




「...
この程度の奴に
隊長が手を下さなくても...
オレ一人でもやれました」




「そう言うな
私とていつも見物してばかりでは
腕が錆びる
それに露雪が手を出すより
私が出た方が良いだろう」





恋次が満月を見た





『......私が行くと言ったのだが
隊長に断られました
“兄が霊力を出すほどの奴では
ないであろう”と』





「......
(違う
この人は...)」




恋次は白哉の後姿を見て




違う意見を頭に描いていた





「...一護...」




ルキアが走って向ってきた




「一護!!」



恋次が立ち上がった




「止せ!!」




ドンッ!!




恋次はルキアの首を掴んで、壁へと押さえた




「はっ...放せ恋次!
一護が...っ!!」




「何言ってんだてめえ!?
よく見ろ!
あのガキは死んだ!!
死人の為に、てめーが
罪重くする必要がどこにあるよ!?
わかってんのか!?
今あいつにてめーが駆け寄って触れるだけで
てめーの罪が20年分重くなんだぞ!?」




「それが何だ!!
一護は...
私が巻き込んだ...
私の所為で死んだのだ!!
私の所為で死んだ者の傍に
私が駆け寄って何が悪い!!」





すると白哉が黒崎の傍まで近付いた





「たとえ己の罪が重くなろうとも
駆け寄らずにはおれぬというわけか
この子供の許へ」




「...兄様...」




「...帰るぞ
ルキア...」




視線を下に下ろして黒崎を見た後




ルキアに視線を戻した




「成程
この子供は――――――――
奴によく似ている...」




ルキアが目を見開く




ガシッ!!




「!」




白哉の足の裾を黒崎が掴んだ




「...もう
死んでるだの...
誰ソレに似てるだの...
俺のいね―間に
勝手にハナシ進めてんじゃねーよ...!」




ヒューッ ヒューッ ヒューッと




苦しそうな息をして、顔を上げる黒崎





「...一...」




一瞬安心した表情を見せたルキアだったが




すぐに固まった




「...放せ小僧」

























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