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□フラスコの中の小人(ホムンクルス)
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―――ブリッグズ



アームストロング少将の変わりに




中央軍からやってきた男が




少将の椅子に座っていた




「アームストロング少将が
レイブン中将の失踪に関係していると?」




「おそらくな
だが、証拠を遺す分は犯すまい」




「確かに」




「まぁいい
我々の仕事はこの砦を掌握することだ
あの雌狐がセントラルで虎の群れに囲まれている間にな」







――――――




その頃オリヴィエはセントラル司令部にいた




歩いているとロイを発見する




「ん?」




「あっ
これはこれは
少将閣下」




「チッ
貴様がセントラル勤務とはな
どんなコネだ?」




「いや
実力じゃないですか?」




「青二才がよく言う」




嫌味をこぼして、ロイと一緒に移動した





「今日はどのような御用事で?」




「大総統閣下に呼ばれて来た
北へは暫く戻れんかもしれんな」




「戻れない...
では、是非一緒に食事でも」




ロイはニッコリ笑ってそう言った




「驕りか?
貴様が破産するまで食べていいなら
行ってもいいぞ」




「...食事は諦めます」



ロイは笑っているが、冷や汗を流していた




「なんだ
肝と財布の小さい男だな」





「代わりに花などいかがでしょう」




「ふん」




「セントラルには良い花屋が多いですから」




「そうか」




オリヴィエはロイに背を向けて、ヒラヒラと手を振って去っていった




ロイもそれを見届けて、仕事へと戻っていった





コンコンコン




オリヴィエが大総統室に到着したようだ




「入りたまえ」




「はっ!」




ギィィ...




「さて
アームストロング少将
レイブン中将行方不明について聞こう
何をした」




厳つい顔で少将に問う大総統




「(これは隠しきれんな...)
閣下ともあろうお方が
あのような粗忽者を傍らに
置いておかれるとはどういうことでしょうか」




「だから始末したのかね」




「いらんでしょう
あれは
あのような口の軽い輩がいては
閣下のためになりません」





「レイブン中将はキミに何を言った」




「不死の軍団
この国の成り立ち
閣下の正体...聞きもしないことを色々教えてくれました」





「ふむ...
キミはそれを聞いた上で
呼び出しを応じたというのかね?」





「はい
あの阿呆が座っていた椅子を貰い受ける為に」





すると大総統は声に出して笑った





「ふふふっ
ふははは!面白い!
それでこそだ
よしキミに席を与えよう
かわりにブリッグズ砦は私の手の者が収めるが良いな?」





「どうぞ語隋に
手塩にかけた屈強な兵達です
必ずや閣下の御気に召すでしょう」





「気に入ったぞ
したたかに動けよ人間」




大総統は目を赤く光らせ




ニヤリと笑ってそう言った






―――――――




「虎穴にいらずんば虎子を得ず
少将は自ら虎穴に入られました」




「あぁ
ここは連中の物だ」




バッカニアと が一緒に話をしていた





「ですが
奴らは知らない
主が不在であろうと一つの意志で動く事の出来る巨大な一枚岩
それがブリッグズ砦」





中央の奴が前を通るなり、




後ろから睨みつけているブリッグズの兵だった





「ここからは
虎と虎の喰らい合いよ」








〜第40話 フラスコの中の小人〜























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