月輝

□岩壁の花
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数時間後...




決着がついた...




ビチャビチャビチャッ!!




血が大量に水たまりを作る




「...まったく...
骨の髄まで野良犬根性が
染み付いてやがるんだ
厭になるぜ
星に向かって吠えるばっかで
飛びつく度胸も
ありゃしねぇ...」




ザッ!!




「!」




恋次が足を踏み出し



ガツッ!!




一護の胸倉を掴んだ




「...俺は...
結局朽木隊長に...
一度も勝てねえままだ...
ルキアがいなくなってからずっと...
毎日、死ぬ気で鍛錬したが
それでもダメだった...
あの人は遠すぎる...
力ずくでルキアを取り戻すなんて
俺にはできなかったんだ...!
...黒崎...
恥を承知でてめえに頼む...ッ!!」




胸倉を掴む手をいっそう強く




そして、叫んだ





「...ルキアを...
ルキアを助けてくれ...!!!!」





「――――...
......ああ......」




「......」




すると恋次は力尽きたのか




バタンとその場に倒れ




その後すぐに一護もその場に倒れた





『共倒れ...と
言った所か......』




「2人とも大分重傷ですね」




満月は2人の戦闘を見ておこうと




場所を移動して




近くまで来ていたのだ




『副隊長を倒したか...
黒崎はここへ来てから
大分と強くなったな......』




「そうですね」




現世に出る時




副隊長以上の死神は




現世の霊なるものに不要な影響を




及ぼさないよう




力を極端に制限される(本来の二割に抑制)




だからここにいる時は




現世にいたときの霊力より五倍になる




そんな副隊長クラスの霊力を相手にし




倒した一護だ...大したもの




眺めていた2人は花太郎と岩鷲が




黒崎を抱えて




どこかへ行ってしまうのを見ていた





するとその後すぐに




三番隊副隊長・吉良イヅルと




その部下がやってきて




恋次を抱えて、全員去っていった




「黒崎様はまた地下へ
逃げ込んだようですね」




『そうだな......』




「行ってみますか」




『......』




「どうされたのですか?」




満月は月姫を見て丸い眼をしていた




『月姫がそんな事を
言うとは思わなかったからな...』





「!
あちらは日番谷様が向かっているようですね
どうなされますか?
あの方もおられるようですが...」





『地下は花太郎ならなんとかなるだろう
上へ向かう』




「分かりました」




満月は瞬歩でその場を去った








――――――






「...そんな...!」




雛森が口を押さえて驚いた表情を見せていた



重傷を負った恋次が運び込まれたのだ




「...僕が
見つけた時には
もうこの状態だったんだ...
もう少し早く見つけて
僕が戦いに加勢していれば...」




「ううん...
そんなの...
吉良くんのせいじゃ...」




担架で運ばれた恋次




血だらけで苦しそうな表情だった




「...ともかく
四番隊に連絡するよ
上級援助班を出して貰おう...」




「その必要は無い」




いつのまにか、雛森の後ろに



白哉が立っていたのだ




「牢に入れておけ」




「――――朽木隊長......!」




「そ...そんな...
阿散井くんは
一人で旅禍と戦ったんです...
それなのに...」




「言い訳などきかぬ
一人で戦いに臨むということは
決して敗北を許されぬと
いうことだ
それすら解らぬ愚か者に
用など無い
目障りだ、早く連れて行け」




雛森は震える手で拳を握り締めた




「...ちょ...
ちょっと待ってください!!
そんな言い方って...」




「よせ!」




イヅルが雛森の肩を持って止めた




「だって
吉良くん...!」




「申し訳ありませんでした!」




イヅルは白哉に頭を下げた




雛森も目を伏せて謝った




「...も...
...申し訳ありませんでした...」





それを聞いた白哉は部屋を出て行った





「お――こわ!」




「!」




今度は部屋の角に市丸が立っていた




「市丸隊長!」




「............」




「にしても
何やろねあの言い方
相変わらず怖いなァ
六番隊隊長さんは
心配せんでもええよ
四番隊ならボクが声かけてきたるから」





「本当ですか!?」




「ほんまや
ついておいでイヅル」




コイコイと手招きする市丸




「はい!」




「よ...
よろしくお願いします!」




雛森は頭を下げて礼を言った





「.........」




また目線を下に向ける雛森




「おわ―――!
こりゃハデにやられやがったな
阿散井のヤロー!」




びくぅ!!




「狽モわあっ!?」




いきなり背中に現れたのは日番谷




「ひ...日番谷くん!!」




「オイオイ
オレ もう隊長だぜ
いーのかよ
そんな呼び方で?」




「うるさい!もう!
どうして隊長さん達はみんな
足音立てずに近くにくるのよっ!
だいたい日番谷くんが
どうして―――...
...そうだよどうしてこんなところにいるの?
副官さんも連れずに...」




日番谷は腕を組んで言った




「.........
...忠告に来たんだよ
露雪からの伝言だ
三番隊には気をつけな」




「え...?
三番隊...?
吉良くんのこと...?
なんで?」




「俺の言ってんのは
市丸だが
ま、吉良もどうだかな
取り敢えず気をつけといて
損はないぜ
露雪が言ってるから尚更な
特に...」




「...え......」




雛森は目を開いたまま、



日番谷が言った最後の言葉を聞いて



思考が停止してしまった





『......』




市丸が出てきたところから様子を見ていた




満月はまた瞬歩でその場を去った

























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