MY NOVEL

□御曹司ラブ!?2
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西條伊月


「ん…」
まぶしい光と共に目を開けても隣に孝雪はいなかった。
ガサ
体を起して自分の体を見ると昨日の情事の跡がそこらじゅうについてた。
いつも家から出ない孝雪がいないのは俺がしゃべらなかったからか…?
そんなことを思いながら熱いシャワーにあたる。
のぼせそうだ…
あがってリビングに行くと電話がなっていた。
孝雪にいつも出るなと言われていたからでなかったが、さすがに1時間鳴りっぱなしだとこちらの方が気持ち悪くなるし、緊急の連絡かもしれない。黒い受話器をとり電話にでる
「…柳澤です」
「伊月坊っちゃん」
俺は受話器をとったことを後悔した。信也だ。
「何のようだ」
ぶっきらぼうに言う
「今から言う所に来てください。来なければ、柳澤家に坊っちゃんと孝雪様の事をばらしますよ。」
俺は自分でも血の気が引いていくことがわかった。
家で人形扱いされていた俺にとって家にばれても支障は全く無いが、柳澤カンパニーの未来社長を約束されている孝雪は俺の事がばれたらきっと勘当されるに決まっている。
あんなに頑張っている孝雪の仕事や未来は壊したくない。
今のところ孝雪に縁談が無いため俺とも暮らせるのだが、ばれたらいきなり縁談が持ち掛けられて結婚してしまうかもしれない。
「どこだ?」
震える声を抑えて聞くと、信也は西條家の取り壊し予定のある古いビルを指定してきた。
俺は急いで茶色いコートを羽織る。
そして机の上にあった小さなメモ帳の束から一枚引き剥がし、「すぐ戻る」と置き手紙をして家から出る。
電車で30分、徒歩20分の所にそのビルはあった。
ビルは古びていて今にも壊れそうだった。
灰色の壁にはひびが沢山あった。
近くの駐車場には半年以上止まったまんまのようなワゴン車があり、ここだけ時が止まったようだった。
ガチャ
ドアを開けて入ると信也がいた。
一歩づつ信也に近づく。
後ろでドアの閉まる音がした。

黒いスーツをきた男が二人いた。
また信也の方を向こうとすると気が付かなかったもう一人に後ろから押さえ込まれる。
「何のつもりだ信也!」
信也の方を見ると薄笑いをうかべられた
「坊っちゃんには少し眠ってもらいましょうか。」
そういうと信也は服から何か黒い何かを出す。
スタンガンだ…
信也はそれをつけて押さえ込まれている俺の首に当てる。
「うぁ…!」
痛みを感じて俺は放されて床に倒れこみ意識を失った。




柳澤孝雪


蘭と電話したあと、また電話がなる。
文字盤を見ると…
「おやじ…」
いつもだったらでないんだが、伊月の事があり情緒不安定なのか、でてしまった。
「はい…」
「孝雪か」
「俺以外誰が出るんですか?」
と聞くと苦笑と共に返事が帰って来る。
「最近西條家のご令嬢と仲良くしているそうじゃないか。」
吸っていた煙草の灰が膝に落ちてあわてて払うと、電話越しにそれがわかったのかおやじの高笑いが聞こえる。
「このわしに隠し事とは。そんなのできるわけないだろ?」
自分の性格や好みが半分以外おやじからだということを思いだしため息が出る。
「その事について話がある。明日会社に来い。」
そして俺の有無も聞かずあのバカおやじは電話を切った…
そんな回想をしながら仏頂面で会社の中を歩き最上階を目指す。
歩いている間会社にいる社員は次々俺に頭を下げる。
そんななか唯一俺に頭も下げずついてくるのが蘭だ。
「今日は伊月先輩に断りを入れてから来ましたか?」
「知ってるくせに聞くな。」
伊月に付いている盗聴気や家の監視カメラ、ついにはSPへの行動命令まで全部蘭に任せている。
つまり伊月は蘭に24時間見られていることになる。
「ベッドルームと風呂場にはつけてませんからわかりませーん。」挑戦的な笑みで俺を下から見上げる。
降参だ…
「してない。」
「えぇ〜!」
蘭はか・な・りでかい声で叫ぶ
あわてて蘭の口を手で塞ぐと蘭は懲りずに俺の手を自分の口から取り小さい声でささやく。顔は真剣だ。
「直崎の件がありますし、伊月先輩不安になって探しに出てばったり直崎に…ってこともあり得るんですよ…」言われて初めて気が付いた。
ヤバい…
そう思った時に蘭から追い討ちがかかる。
「もっとも若が昨日の夜みたいなことをしたら嫌われたと思うんじゃありませんか?」
「お…お前見たのか!?」
「ドア開けっ放しであんなに先輩喘がせて廊下から聞こえないわけないじゃないですか。」
エレベーターの前まで来て蘭は俺の腕からひょいっと抜ける。
「じゃあ朝の伊月先輩見てきまーす」
と言って笑顔でスキップしながら自分の研究室(監視部屋)に戻っていく。
「ちなみに社長は伊月先輩のこと女だと思ってるから。」
そう言い残すと蘭はそそくさと去った。
俺といえばエレベーターに乗り31階の最上階を目指す。
31階に行くには鍵が必要でエレベーターのボタンの下の鍵穴に刺すとカチンと言う音がして体が浮上する。エレベーターの片方の壁を見ると外が見える。
外には朝の東京が見える。
ピン
31階に着く。
エレベーターを出てすぐの所に曇ったガラスドアがあり、横に暗証番号とスピーカーの付いたロックがある。
その近くのボタンを押す。
「誰だ。」
おやじの声だ。
「孝雪です」
というとガチャという音と共にドアのロックが解除される。
ドアを開けて部屋に入るとすぐに見えるのが大きな窓ガラスだった。
いつも入る度思うが…
ここは水族館か…?
窓ガラスからは首都東京が見える。
そしてその大ガラスの前に赤いレザー貼りの椅子。
「で、用件を早く言ってもらえますか?急ぎの用があるので。」
「そうか」
と言いながら椅子を回し俺と対面する。
「では単刀直入に言おう。」
ゴクリと唾を飲む。
別れろとでも言うのか…
「西條家のご令嬢と付き合っているのならなぜわしに言わぬ。」
「…は?」
「彼方の家は今事業に失敗しててな。ちょうど合併の話が持ち上がっている。お前が結婚はしないと言っていたから縁談を持ち掛けてなかったが今回はと思ってた所だったんだ。まったく人騒がせなやつだ…」
一旦思考が停止する…
頭の中で今のことと蘭の言った「ちなみに社長は伊月先輩のこと女だと思ってるから。」と言う言葉を合わせると…
「つまり俺に西條家のご令嬢と結婚しろと…」
おやじは皺を上げて満面の笑みを浮かべる。
「うむ。」
どうしたものか…
今さら伊月は男ですとも言えない…
「彼女と話し合います。他に用件はありますか。」
「無いが付けたしとしてお前がこの縁談を受け入れたら柳澤家の正式な跡取りにしてやる」
「わかりました。」
そう言って部屋を後にする。
エレベーターで降りている途中蘭からメールが入る。
(社長との話しが終わったら急いで第23研究室に来てください!)12階に急いで降りる。「23研究室は伊月の盗聴データがある所じゃないか!」
冷や汗と走った汗とが混ざりながら第23研究室にたどり着く。
暗い部屋にコンピュータが3つあるとても不気味な光景の中で真っ青になっている蘭の顔が見える。
「どうしたんだ!…伊月は、伊月は!」
蘭が震える手で右側の電話盗聴用のパソコンのエンタキーを押す。
信也と伊月の会話。
「これで場所はわかったな。それで?服の盗聴器の方は?」
真ん中のパソコンを見る。データはもう決めてありあとはエンタキーを押すだけだった。
「どうしたんだ?」
もう白と言っても間違ってはいない蘭の顔をのぞきこむ。
パソコンを真っ直ぐ見ていながら蘭は口を開ける。
「ここからは…若が…押してくだ…さい」
そういい終えると蘭は顔をうつ向かせる。
俺は真ん中のパソコンのエンタキーを押す。
すかさず蘭は耳を塞ぐ。
「坊っちゃんには少し眠ってもらいましょうか。」
と言う信也の声と伊月の悲鳴のような叫び。俺の体が凍った様に動かなくなる。
ドサっという音がしたあと信也が誰かに命令する声が聞こえる。
「盗聴器だ。」
ばれた。
「まったくこれだからボンボンは…ちょうどいいこいつの着てるものすべて剥いで縛り付けとけ。」
くそ…
「おっと多分これを聞いている柳澤孝幸。愛しの姫が汚れる前に探すんだな。」
そして盗聴器が壊された。
蘭は俺の隣でカタカタ震えて涙を流していた。
「早く…早く見つけてあげて…ください」
「あぁ…」
そう言い残して俺は第23研究室を後にする。
「伊月…!」





西條伊月
コツコツ
誰かが近づいてくる…
誰だろう
意識が朦朧とするなかゆっくり目を開ける。
「ん…孝幸?」
「残念でしたあなたの王子様ではありませんよ。」
俺の横たわるベッドの横に居たのは孝幸ではない…
「信也…」
怒りの満ちた顔で睨み付ける。
「この!」
信也に襲いかかろうとするが…
ジャラ
へ…?
飛び上がったあと一瞬にしてベッドに逆戻りする。
変な感覚で自分の手首を見ると鎖でベッドの鉄格子につけられていた。
急いでもう片方の手首を見ると、同じ状態だった。
しかも白いシーツしかないベッドの上で自分は裸…。
「ここは何処だ!俺に何をするつもりだ!」ギシ
信也がベッドサイドに座る。
両頬を捕まれ信也の方向に向けさせられる。「ここは新宿にあるとある廃ビルですよ坊っちゃん。」
信也がにやりとした表情になる。
「そして」
…!
無理矢理唇を会わせられしかも中に舌が入って来る。
なんとか振りほどこうと頭を振るが両頬を捕まれているため全然離れない。
嫌だ…嫌だ、孝幸!
心の中で叫ぶがまったく声にならない。
そうだ孝幸は俺が問いに答えなかったから出ていってしまったんだ。
とたんに胸が締め付けられるほど痛くなり涙が出てくる。
俺は孝幸にふさわしく無いんだ…
溢れ出した涙を信也は満足そうに見て唇を離す。
必要としていた酸素が急激に入ってき、息が上がり、目の前が揺れる。
「キスで涙を出すなんて…そんなに良かったですか?」
違う…違う、違う、違う!
必死に叫ぼうとしても喉からは掠れた音しか出てこない。
「ずっとあなたを見てきました。」
信也の手が頬から鎖骨を通り胸に到達する。
「あなたの決め細やかな肌や美しい無垢な胸。綺麗すぎて私が触ってはいけないものだと思い触れなかったのに。」
乳首を摘ままれる
「痛っ…」
「あんな男に汚されるなんて…!」
信也の顔は怒りに満ちていた。
俺はこいつのことをただの父親の執事として見てたのに…
まさかその信也にそういう風に見られていたなんて…
知らなかったし知りたくなかった。
そして孝幸以外の男に体を触らせるなんて…
「やめろ…やめてくれ!」
「今さら」
と言われたあと信也の手が股の間に入って来て…
「やだ!」
穴を触られた俺は信也を蹴ろうとするが、すぐに足も手首と同じ状態になってしまった。
止めどなく涙が溢れる。
孝幸…
もう会えないかもしれない人の名前を呼ぶ。
信也は俺が暴れ疲れておとなしくなるのを待ち、その瞬間がきたとたんローションを入れているチューブの先を強引に蕾に入れる。
俺の中はすぐに液体で一杯になった。
そのまま流れ作業の如く信也は指を入れ、慣らしたあと信也の大きな物を入れる。
俺はひと喘ぎもせずただひたすら泣いた。
誰にも足を開く自分。意地を張って問いに答えなかった自分。
迷惑の塊でしかなかった自分。孝幸に捨てらても仕方がない。
生きている価値を教えてくれた人に会わせる顔がない。
もう今の俺では孝幸に二度と会えない。
そんなことを考えてたらいつの間にか信也との気持ち悪い交わりは終わっていた。
横を向くと涙が重力に負けて横向きに流れ落ちる。
涙を流して手を顔に持っていくと手首に跡がついているのが見える。
跡…?
部屋には誰もいないのにさっきまでついてた鎖はもうなかった。
今なら脱出できる。
そこらじゅうに散らばっていた服を適当に着る。
白のTシャツに紺の短パン。
ベランダに出ると外が見える。
外はもう夜で冷たい夜風が涙で濡れた俺の頬をより一層冷たくする。
下は果てしなく遠く真下には信也達が俺をここに運ぶ為に使った白いワゴン車がある。
孝幸…
孝幸に会いたい…でももう会えない。
会えないなら俺はいらない。
いらない人形…
再び涙が出てくる。
いらない人形は処分に限る。
処分…
孝幸を失った悲しみに俺は生きる気力を無くす。
ベランダの鉄格子に乗る。
ここから降りればすべてが終わる…
そんなことを思いながら下を向いていると部屋のドアが開く。
「何しているんだ!」
信也だ。
しかしそれに気が付く前に俺の体は宙に舞っていた。
「伊月坊っちゃん!!!」
信也の声がどんどん遠くなる。
さようなら、さようなら孝幸
大好きでした。
グシャという音と共に俺の視界は真っ赤になった。
「愛して…ます…孝…ゆ…き」
 

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