MY NOVEL

□御曹司ラブ!?4
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西條伊月


真っ暗で真っ赤な世界…
あぁ俺は死ぬんだな…
こんなになるんだったらもっと孝幸と話したかったな。愛し合いたかったな…
もう叶うことは多分無いけど。
今になってどんなに自分が孝幸が好きでたまらないか。愛しいかわかるなんてバカだな。
涙が頬をつたう。
なんて地面は冷たいんだろう…
突然俺の頬を温かい物が触り涙をふいてくれる。
…孝幸?
顔をあげるとそれは自分が最後にどうしても会いたかった孝幸だった。
「伊月!伊月!まだ逝くなよ!」
俺の頬に冷たい液体があたる。
…孝幸泣いてるの?
孝幸はその後俺の首に触る。
大丈夫だよ。俺は生きてるよ。
そう言いたかったが、もう全然口から声が出ない。
ダメだ…
せめて最後に言いたかったことを言おうと口を開けて力を振り絞る。
「たか…ゆき」
「なんだ?」
孝幸が心配そうな目で聞く。
もう一言。あと一言だから神様俺に最後の力をください。
「愛して…ます…孝…ゆ…き」
ありがとう神様。ありがとう孝幸。
俺は白い世界に入る。


白の世界で俺は一瞬孝幸の声を聞く。
「伊月」
…孝幸?俺の未練が幻を作ったのかな?
目の前の孝幸に微笑みを浮かべる。
さようなら。
孝幸の幻は消えた…
だがすぐに孝幸の声が聞こえる
「帰ってこい馬鹿野郎ー!」
その瞬間俺は何か強い力に引っ張られる。
ピッ…ピッ…ピッ
目を開けた俺が居たのは真っ白な部屋でなんか重いっと思い顔を下へ向けると孝幸が−−椅子に座りながら上半身が俺の上にあるという状態で寝ていた。
「…孝幸」
手を伸ばして孝幸の頭を撫でる。
「ん…」
孝幸が目を覚ます。
「伊月!」
「もうそんな大声出さなくても」
孝幸は起き上がれない俺の首周りに腕を回しそっと抱き締める。
俺も孝幸の背中に腕を回す。
「愛してる」
孝幸の口からその言葉が出た瞬間涙が溢れる。
初めて言ってくれた言葉…どうしよう、嬉しくて怪我の痛みなんて忘れちゃいそう…
「お前がいなくなりそうになって俺は…」
孝幸の腕がさっきより強く俺の頭を抱き締める。
「俺も愛してる。」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらやっとのことで口からその言葉が出る。
孝幸の腕が突然解かれる。
「どうしたの?」
孝幸がポケットから何か黒い小さな箱を出す?
「それなに?」
「いいから目をつぶって。」
ゆっくり目を閉じる。
手を捕られて何かが指に入る。
そして甘いキスをされる。
「目を開けて。」
そっと目を開けると手には銀色の指輪。しかもパールが付いている。
「これは…?」
「婚約指輪。」
「…へ?いつ買ったの?」
目を大きく開き孝幸を見る。
「お前が3日間寝ている間にだ。…実は親同氏が決めた婚約でな…全くお前の親は自分の子供の性別も覚えてないんだな。」
「つまり…?」
「つまり西條伊月は女として柳澤家に嫁ぐんだ。」
頭が真っ白になる。
「どうするんだよ!俺男じゃん!」
「だからこれからは人前では女として生きてもらう。」
「俺子供産めないよ?!」
「不妊症って事にして養子をとれば良い。」
「華奢な体で全く男らしくないんだぞ!」
「それこそ女装が似合うじゃないか」
「俺は…俺は家で人形扱いされて、しかも実の親に性別まで忘れられてるぐらい価値のないやつなんだぞ!」
涙の出そうな俺を孝幸が抱き締める。
「俺が人間扱い…嫌それ以上の扱いをしてやる。それともなんだ?お前は俺と1つになるのがそんなに嫌なのか?」
「違…違う」
「じゃあなんだ?」
「んで…何で俺なんだ?俺なんかで良いのか?」
孝幸は俺の頬を手でさする。
「お前だから良いんだ。さっき言っただろ?」
「へ…?」
「愛してる」
そう言って俺にまた甘いキスをする。
「俺も愛してる。」
その後病室では俺の抑えている声と孝幸の甘い囁きが響いていた。
 

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