お題

□あなたが気づくことはないね
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「僕、告白しようと思うんです。」
突如、投下された彼の爆弾発言にあたしは目を白黒させた。
色恋沙汰など関心がないと思っていた彼に好きな女性(ヒト)なんていったい誰なのか。
「で、誰にしたいの?」
「えっ、と…リナリーです…」
語尾がだんだん小さくなっている。
彼はこれでもかというくらい顔を真っ赤にして、右頬をぽりぽりと掻いている。
「そ、っか…」
―――わかっていた。
ていうか、この話題を振ってきた時点であたしなど眼中にないし、勝ち目はないと思った。
けどさ、ちょっとくらい期待したっていいじゃんか。
自分の想いが溢れないようにきっちりと密閉して、彼に視線を合わせた。
「ライバルはかなり多そうだしね。血を血で洗うかもよ?」
と冗談っぽくおどけると彼は顔を青くさせた。
―――ホント、忙しい子だな。
そういうトコロに惚れんたんだけどさ。
「まあ早いに越したことはないし、さっさと告っちゃえばぁ?」
「え!!?そんな!まずはお友達からですよ!!?」
「ばぁーか!もう十分にお友達だっての!」
そうでしたねと頬をほんのり桜色に染めて困ったように微笑んだ。


あなたが気づくことはないね
(この笑顔があたしに向くことはない)




お題配布元:確かに恋だった
届かないあなたへ7題

2012.4.16.




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