自意識過剰
はあ…
あの人、絶対俺のこと見てるよな。
まあ、どうせこの…傷とか傷とか、傷、とか……
はあ……
ため息しかでてこない。幸せが逃げるとも思ってはない。信じてないから。
そうだよな
俺の取り柄なんて所詮この、傷……
アホか!
取り柄じゃねえだろ。
やばそう、みたいな目でいつも見られて…
だからって外にあまり出なくなったりはしない
防止をかぶって、サングラスをかけて、軍手をして。自分でもアホらしい格好だなとは思うけど、まあ仕方がない。
頬の傷は隠しようがないが、指の傷はなんとか……
肩の焼き印のお陰で海にも暫く行ってない…
それから数日。
仕事も見つからず、更に昼間からパチ屋で大負けした俺はムシャクシャして、近所の奴らをビビらせてやろうと思った。我ながら気が触れたか……?完全に自棄になっていた。寧ろ、みんな離れていけばいいと思っていた。
俺は髪を後ろに束ね、久々にタンスから掘り出した黒のタンクトップを着ると、素手のまま外に飛び出した。
「どうでもいい……ほんとどうでもいい…!!」
――数分後。
俺は公園のベンチに腰掛け、項垂れていた。右腕で刻印の跡がくっきりと残ったままの左肩を覆いながら、
「はあ……しにたい」
髪を束ねていたゴムを解く。
跡がついたかな。手梳でなんでか髪をとかしてみた。自分からは見えないけど、まあ良いか。
実は、コッソリもってきていた上着を羽織った。人に注目されるのは嫌いだ。慣れうのはもっと苦手だった。正直人があまり好きではなかったし、いままで本気で好きになった奴も…多分いない。いなかった。
足元の砂を靴で堀りながら公園をぼんやり眺めていた。
どいつもこいつも
幸せそうじゃんか……。
邪気など無縁の笑顔を振り撒く子供…と言っても小さい公園なだけに居るのは数人だったけど…
自分が浮いた存在だ、と感じるのは間違いではないのだろうか…?
悪い意味で自分だけが目立ち、視線を浴びている。どこにいても、なにをしていても。
そんなことを考えていたら急に唯一誰からも見られることのない自分の部屋へと戻りたくなった。
「帰るか…」
帰りの道は随分と長く感じた。
明日から、変わる。何度そう呟いたか、数えているわけもなかった。
end...?