リクエスト小説

□勇者の父親になるにはとりあえずビアンカ嫁にしろ
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「っざけんな!!!コピーデータ取ったらそれを屯所のコンピューターに導入しなけりゃ意味ねえっつっただろうが!だからオレァまだ勤務中なんだよこのクソ天パ!!!!」
「いや…悪かったって…、だってあんな、ねぇ。あいつに負けてはいかんと思って銀さんもハッスルしちゃったっていうか、ね?」

 たまのオイルを肛門へと進む白血球王から貰い受けた船のうえ、立ち上がることもままならない土方は腰の按摩をしている銀時を腹立ちまぎれに怒鳴りつけた。

「んなもん言い訳になるか!」
「ほら、あんま大声出すと怖がっちゃうから」

 銀時がさっと土方の腕から取り上げたのは、雫型の軟体生物。所謂スライムに酷似した姿のそれが白血球王のコピー。

「なんで勇者の子供がモンスターなんだよ…」
「まーまー、土方そっくりの子供が産まれてもかわいかっただろうけど、んなことになったら銀さん嫉妬しちゃうし」
「うっせ」
「こいつ産むときに息んでる土方くん…エロかったねえ…」
「うっせぇ!」
「うぎゃ!」

 蹴られて甲板に転がった銀時は、蛍光灯の光で溢れる人工的な天井を仰いだ。胸に乗ったスライムがもそもそと蠢いた。

「…最後あいつと何話してたの」

 スライムの鼻と思しきあたりをくすぐってやりながら寝転んだままの銀時が問うと、同じく甲板に転がっている土方はすこし笑った。

「なに気にしてんだよ」

 天井から視線を外した銀時は緩慢な仕草で土方へ目を向けた。

「そらァ、気になんだろ」

 意外にも真剣な眼差しをした銀時に土方は一瞬己の目を疑い、だがすぐに呆れたように息を吐いた。真剣な表情をすればその顔はまるきり白血球王と重なる。白血球王に銀時が似ているのではなく、反対だとは知っている。それを白血球王も痛いほどよくわかっていた。

「…てめえは意地っ張りで強欲で変態だよな」
「土方くんは銀さんをそんなふうに思ってたのー」
「そのうえ金もねェわ将来性もねェわ甲斐性もねェわで本当にどうしようもねえ」

 土方は力の抜ける腰を叱咤してどうにか上半身を支えて座った。見下ろす銀時の顔には誰の面影もなく、ただ銀時であるだけ。

「会えばすぐヤろうとするし」

 座った土方の膝にぽんと銀時の頭が乗った。

「…寂しかったの?」

 銀時が後ろ手に土方の腰をさするとひくんと土方の肩が揺れて、肯いたようにも見えた。
 銀時が土方の膝のうえで寝返りをうって脚の間に顔を埋めて、その幼げな振る舞いにあわせるように、土方はほとんど無意識に銀髪に指を差し入れて撫でた。

「…不公平だっつーの」

 銀時が土方を見上げた。拗ねた視線はすぐ逸らされる。

「何がだよ」
「だぁから、土方くんの考えてることは銀さん意外とわかっちゃうのに、土方くんはぜんっぜんわかってくんないのが」

 膝に乗った銀時がごろごろと駄々をこねるように左右に頭を転がす。

「…スライム潰れる」
「土方くんが寂しいのと同じくらい、銀さんも寂しいの。自分とおんなじ顔のヤツと、好きなヤツが良い雰囲気なの見るのって寂しいもんよ?」

 スライムがふるっと震えて土方の腕のなかに跳ね入って来る。それを待っていたように銀時が土方の腰に縋るように抱きついた。

「…土方とだからオレはヤりたいと思うわけ。いやまあ巨乳美女に迫られたらどうなるかは神のみぞ知る感じだけど」
「オイいま完璧に浮気宣言したろ」
「うん」

 殴ってやろうかと拳を固めたと同時に腰を抱く力も強まり土方は殴りかかるのを自制する。

「そーだよ、浮気になんの」
「…?」
「それって裏っかえせば、お互いが本命っつーことだろ」

 握った拳の行き場がなくて、土方は仕方なくためらいなく銀時の後頭部へと振り下ろした。

「いて」

 銀時は頭をさすって土方を見上げて、その顔が赤らんでいるのを見ると笑った。

「そのスライム処理したら、うち来る?」
「行くか天然パーマネントめ…。てめえで来い」

 嬉しげに弛ませた銀時の目が、白血球王のそれと変わらず煌めいているようで土方はうっすら瞼を細めた。銀時のなかに白血球王を見たようで、色は違えどその瞳に愛おしむように指を突き立てた。

「ぶぎゃあああああ!!!!!!なんで!?なんで目潰しぃい!!?」
「綺麗だったから…」
「ヤンデレかあああ!!!!」

 二人を乗せた船は、ゆっくりオイルの海を進んで行った。







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