リクエスト小説
□手は洗うよりアルコール消毒がいい
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好きなやつと一緒にいられるっつうのはどこをどう取ったって幸せなことだろう。しかもその腰やら背中やらを触り放題っつうのも、幸せなこと。
だから堪えるんだオレ。
そんな幸せと引き換えなら、その他大勢の好きでも何でもない野郎どもの腰を弄るのだって堪えられる。
うん。
…うん。
「堪えられるかボケがァ!!!」
放った打撃は寸分の狂いなくオレの下で気持ちよさそうに寝転がっている隊士の頭の横ぎりぎりをすり抜けて、床に穴を開けた。
「ちょわっ!!え!?えええ!?」
「はいっ、あんた終〜了〜。ほら、はやく土方くん出しなさい土方くん」
「ええええ、ちょ、副長ーっ!」
屯所の大部屋にひしめき合って雑魚寝の形を取っている隊士の山。オレの下の隊士の上げた声を聞きつけるより先に部屋の隅に座っていた土方が駆けつけて床を見た。
ぽっかり綺麗に開いた穴の修繕費を計算してるのが見て取れるね。あは、やっちゃった!
かわいこぶってもダメっすか副長。
「一万二千」
「なにそのリアリティに溢れた数字!?本気?本気なのか?」
「雇われマッサージ師風情が今日で何回床ぶち抜いたと思ってやがる。ああ?」
容赦なくメンチを切る僕の恋人。そうなのですよ。今日オレは、真選組による慰安のための大リラクゼーション大会(屯所に按摩さん呼んでマッサージして貰うだけの集い)にマッサージ師として来ているんですよ。これ絶対隊士が個別で女の子とにゃんにゃんなお店行ったほうが癒されるよね。でも噂によるとヒラ隊士はそれもままならない薄給なうえ、真選組はそういうイケナイお遊びを自粛するよう努めているそうで。ひゅーうストイックう。
飲み屋で会ったマッサージ師のおっさんが、人手が足りないのに真選組がほにゃかにゃと言うもんだから、こりゃあ万事屋として見逃すわけにはいかないと思ったね。うん、どちらかというと男・坂田銀時、見逃すわけにはいかないね。
その時はこのリラクゼーション大会がどっか温泉地で開かれると思ってたしさ、個室で土方くんにあんなマッサージやこんなマッサージができると思ってたんだよちきしょー。
「聞いてんのか」
「は、すいません」
土方くんのあんまりな眉間の皺と目つきの悪さに思わず正座。まわりの隊士ども見てんじゃねーよ!つーかマッサージ師のおっさんどもも見んな!
「まあまあトシ」
ゴリラが来やがった。肌が心なし艶やかだな、マッサージすげえ。
「万事屋もこうして組のためにわざわざ来てくれたんだ、そんなちょっとした穴のひとつやふたつ見逃してやれって。大体屯所のどっかが破損するなんて日常茶飯事じゃないか」
「そうでさァ土方さん。こんなちっこい穴にぶちぶち言うなんざ、ケツの穴のちいせぇお人だねィ」
「屯所破壊してんのはてめえだろうがあ!」
実際土方くんのケツは大変狭くて気持ちがよろしいけどね。
「何はともあれ、そろそろ隊士たちの疲労もとれたことだろうし、酒宴とするか!マッサージ師のみなさんも是非」
ゴリラの言葉にどお、と歓声があがる。女っ気がないから地の底から響くような低い声ばかりでいまいち気分が上がらねえが、オレには土方くんがいるしね!しかもただ酒!
「わーい。ただ酒ー」
「てめえは家帰ってガキ共と飯食ってろ」
「だあめだってトシ。万事屋んとこの子供らだって呼んでやればいいだろう」
「近藤さん下心が透けてる」
土方が呆れたように大きく息を吐いた。仕方ねえ、と呟いて。
そりゃあ、ゴリラが万事屋に期待することっつったら妙の存在なわけだがあんなゴリラ二号を連れてくるわけにはいかん。正直新八と神楽がいても土方くんとエッチしづらいから辛いとこなんだけど、もうね、あいつらも大人になる頃だよね!
にしても、目の前に立つ土方がマッサージのあとだってのに顔色悪いように見えっけど。
大丈夫かねこの子は。
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