脱色(zzz)
□遺伝子
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「君がかわいいのは親譲り?」
またこいつは、と呆れていると
「それじゃあ僕は君の母親も好きになってしまうのかもしれないね」
それは嫌だなとか考えていると
「でも僕は君の母親に会ったことがないから好きじゃない」
なんて今はわたしだけを愛しているかのような口ぶりをする
どこからか安堵の気持ちがわいてきたがそれを必死に否定して素っ気ない返事をした
「わたし母親なんて覚えてないわ」
そう言ってわたしがかわいいのはわたしだからだと言う定義を確立させようとした
「そうだね。でも僕と兄貴って同じくらいかっこいいよね?」
「思うのは自由だし」
「でも僕を選んでね」
これからわたしは二人否一人しかいない選択肢を眺めて楽しまなくてはいけないのか
先のことを考えるとどうも明るいという文字はどこにも出てきそうもないので考えるという作業をやめることにした
すると遠くにあったはずのザエルアポロの顔が近くなっていたので
「調子に乗るな」
と一喝してその場をあとにした
「照れてるんだね」
という前向きを聞かないようにして逃げるように走っていった
まだ好きではないと思いたい
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