短編

□JOKER様への送歌
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「よくもぬけぬけと大衆の面前でメシを食べれるもんだな、“ポートガス・D・エース”。
“白ひげ海賊団”のニ番隊隊長がこの国に何の用だ?」

アラバスタ国ナノハナにある、とあるめしや。ここで今、海兵が海賊を睨んでいた。



「し、“白ひげ”!!?“白ひげ海賊団”の一味か……!!?」

「そういやあいつの刺青(マーク)見たことあるぞ」

「なんでこんなとこに……!!?」

視線を一身に集めるのは黒いズボンに入れ墨の入った背中。そして頭にかぶったオレンジのテンガロンが特徴の海賊、ポートガス・D・エース。
エースはフォークおき、自分を睨む海兵、“白猟”のスモーカーに目を向ける。
そして、ニヤッと口角を上げた。


「……。弟をね、探してんだ」










【激走!?麦わらと渡り鳥】









―――アラバスタ国“ナノハナ”


『ルフィさん!お待ちください』

街中を走り回るルフィの横に現れたのはジン。
陸についた途端、走り出したルフィを止めるようナミから言いつけられていた。


「お、ジン!!見ろよ、あそこにめしやがあるんだ!!」

『…ああ、本当ですね。じゃあ皆さんにもお伝えして…』

「めしだァ〜〜!!!やっほーい!!」

『!ルフィさん !!』

ルフィはジンの静止もむなしく、腕を伸ばしめしやに突っ込んで行く。立ち止まったジンはシルクハットに手を添えた。


『……追われている身としては隠密行動が鉄則ですが……。食欲のせいで完全に失念していますね』

ハァっと小さく肩をすくめると、ジンもめしやへ足を向けた。






『失礼しま…』

めしやに足を踏み入れたジンはそこでで見慣れないものを見る。
ルフィがカウンターで、すでに食事をしているのは置いておくとして、カウンターの奥に何重もの大きな穴が空いていたのだ。
しかもそれは今起こったようで、カウンターにいる店主は顔を真っ青に、ルフィを見る。


「うっっっっめェ!!なんてうめェメシ屋なんだ、ここは!!」

「ああ…ありがとう…でもきみ…」

『…?』

店主の言動にジンは疑問を感じつつ、ルフィの下に行く。


「ル…」

『?』

「麦わらァア!!!」

「…ウゲッ」

『……』

「……(モグモグバクバク)」

「やっぱり、来たか。この国へ……」

「……(モグモグバクバク)」

「食うのをやめろ!!」

食べ続けるルフィに怒鳴る男は葉巻から煙を吹き上げる。
ジンの記憶が確かなら…いや確かめる必要もなく彼は海兵だ。


「ばもぼいもめうい(あの時の“ケムリ”)、なんべぱんべもばぴぴ(何でこんな所に)!!!」

「……野郎!!」

ルフィの声と共に口から食べ物が飛び出す。スモーカーの眉間にはさらに深いシワが刻まれた。


『ルフィさん』

「ん゛?ぼぼ、ずん(おお、ジン)!!」

『そして、こんにちは。“白猟”のスモーカーさん』

ジンはニコッとスモーカーにほほ笑む。しかし睨み返された。


「……“火拳”に“麦わら”。そして“渡り鳥”か…」

『(“火拳”……?)』

ジンはその名に首を傾げる。“火拳”は言わずと知れたある男の通り名だ。しかし姿は見えない。


「ずん(ジン)!!」

『ええ……ルフィさん。残念ですが、あまりゆっくりは出来ないようですよ』

「ぼお(おう)!」

『ではスモーカーさん、僕らは失礼します』

ジンはシルクハットを上げ軽く会釈しながらさらっと言う。スモーカーは怒鳴った。


「逃がすかよ!!」

『―――“幻(ファンタム)”!!』


バサァァ……!!


パチンッとジンが指を鳴らした瞬間、突然紙吹雪が店全体に広まった。
それはまるで嵐のようで、店に居た店主、客、そしてスモーカーはその紙吹雪に視界を奪われる。


「なっ!!?」

刹那、紙吹雪が収まった。が、目を開けたスモーカーは愕然とした。
ついさっきまで目の前にいたジンとルフィがいないのだ。もちろん店内も騒然とする。


「い、いなくなった!?」

「なんの魔法だ……??」

「チッ!!」

眉を寄せ舌打ちをしたスモーカーは、店主に店の補修を約束すると、外に飛び出して行った。
スモーカーがいなくなってすぐ、ガバッとエースが起き上がる。見渡した店内にはルフィはいない。エースはとっさに走り出した。


「くっ、待てよ!ルフィ!!おれだ!!」












店を出た二人は、走る。


『ああ、そう言えば』

「ん?どうしたんだ??」

『ええ。先程“白猟”さんがおっしゃっていたのですが、僕らの他に“火拳”さんもこのアラバスタにいらっしゃるそうですよ』

「“火拳”?誰だ??」

『?ご存じないですか?“白ひげ海賊団”ニ番隊隊長、“ポートガス・D・エース”さん。通称“火拳”のエースと呼ばれている方です』

「エース!!?」

『?』

ルフィは急ブレーキを掛け止まった。ジンはつられて止まる。
ルフィは期待込めて、ジンに尋ねた。


「エース!!エースがここにいるのか??」

『!…ええ。ルフィさんは“火拳”のエースさんとお知り合いなのですか?』

「ああ!!エースはおれの兄ちゃんだ!!」

『!!お兄さんですか…!?』

ジンは驚きの声を上げた。ルフィは嬉しそうに笑う。


「ししし!そう、兄ちゃんなんだ」

『……(“火拳”のエースさんと兄弟…驚きですね)』

「会いてェな…。あ、そうだ!!」

『?』

ルフィの声にジンは顔を上げた。そんなジンが見守る中、ルフィは大きく息を吸い込む。そして……


「エース!!!!どこだー――!!!?」

『!!?』

ルフィは腹に溜めた空気を吐きだすのと同時に、街中に届くくらいの大きな声で叫んだのだった。


『え……』

ジンは固まった。さっきスモーカーから逃げたばかりということもあるが、スモーカーが来ているのならば確実に一小隊分の海兵がいることになる。
今のルフィの大声はその海兵達に“見つけてくれ!”と言ったようなものだ。



「見つけたぞー!!こっちだ!!」

『!早速ですか』

「お?」

通りから出てきた海兵が、二人を指さし声を上げた。どうやら見つかったようだ。


「あれ?エースじゃねェ?」

『ハァ…ルフィさん、逃げましょう』

「おう!」

ルフィはニカッと笑うと、二人してまた逃げ出した。










数分後、海兵を捲いた二人。


「エースに聞こえたかなァ〜??」

『あの声量ならば聞こえたかもしれませんね』

「かな!あ〜会いてェな!!」

『フフ…それにしても兄弟揃って海賊とはすごいですね。しかもお兄さんはかの“白ひげ海賊団”…』

「ししし!その白ひげって知らねェけどやっぱりエースはすげェんだ!!
――よぉーし!おれもワニを吹っ飛ばしたら、“ナオ”を探すぞー!」

『!……“ナオ”…?―――まさか“クロスフォード・ナオ”さんですか?』

「お!ジン知ってんのか!」

ジンの驚きにルフィは飄々と答える。ジンはシルクハットが風に飛ばされない様に抑えながら言った。


『ええ。その名前は存じております。……と言いますか“聖魔の天神”さんはGLではかなりの有名人ですよ』

「へェ!ナオもすげーな!!」

『…ちなみにどういうご関係ですか?』

「ん?ああ、ナオもおれの自慢の兄ちゃんなんだ!!」

『なるほど』

「ナオはエースよりもすげェんだぞ!!!」

『……(僕からすればそのお二方と御兄弟であるルフィさんがすごいと思うのですが……)』

ジンは口には出さないが、深く息をついた。このルフィという人物は自分が思っている以上に強大な存在であるようだ。


「まぁ、“海賊王”になるのはおれだけどな!!」

『……!』

ジンは驚いた顔でルフィを見た。ルフィの横顔は自信に満ちている。


『…貴方といると飽きることはなさそうですね…』

「ん?なんか言ったか?」

ルフィはジンの言葉が聞き取れなかったようでジンを見る。ジンはクスッと笑った。


『いえ、何でも。…では、海兵も捲いたことですし、皆さんのところへ戻ると致しましょうか』

「――おう!!」

二人はそう笑い合うと、船で待っているであろう仲間の下へ向かって行った。







fin



たたたたた大変遅くなりました><
しかも勝手にナオさんのお名前をお借りしてしまい…;;
ルフィに振り回されるジン…になったでしょうか。一番振り回されやすそうな舞台、アラバスタにしましたww

駄文になりますが、楽しんで頂けると幸いです^^

こんな奴ですが、これからもよろしくお願いします。


神有 悠
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