短編

□宝の詩
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――テメェはただ俺だけ楽しませてりゃいいんだよ。


そんなことを不遜に言い放つこの男を更正させる、力なんて俺にはない。



『枯れ逝く大地に落つ雨』




王下七武海が一人、サー・クロコダイル。

彼は今ある計画を実現させるべく『B.W』という秘密結社を立ち上げて人手を集め出している。

何を始めようというのか。
――ただ一つ、わかるのはそれが決して好ましいものでない、ということだけだ。




―――


その国を訪れたのは偶然。
その偶然が最悪だった。


船を下り向かうあてもなく砂漠の荒野を行く。この国での重要な足である駱駝に乗りローブを身に纏った姿でオアシスを目指した。


昼は体力を温存しながら、夜にペースを早めて。そうすれば数日で着く。


異変が起きたのは二日目の夜だ。



(――何だ…?)



駱駝もその微かな異変を感じて、怯えたように歩みを止めた。


「お前は直ぐに街に戻れ。ここまでありがとうな。」


砂地へ降りて、駱駝を撫でてやる。
言葉を理解したように澄んだ瞳が見つめてくるのを、笑みで返して促す。


「…いい子だ。」


走り去る姿を見送ると、向かっていた方向をじっと見据える。

違和感の正体はすぐに理解した。


(砂嵐…こんな夜にか?)


しかも、常人なら気付かないだろうが、これはただの砂嵐などではない。
双眸を細め、発生したそれを睨みつけた。



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