短編

□水江様への送歌
2ページ/6ページ

「“アトラス彗星”っ!!」

ババババ!!!

巨大パチンコ、カブトから4つの星が一斉に撃ち出す。
放たれた星は後ろから追ってくる海兵に正確に向かう。


『“無秩序(ケイオス)”』

追う海兵は逃げ腰の海賊が放った星の軌道を読み素早く透明なピースを軌道上に組み立てた。


カンカンカンカン


「また!!当たらねェよ、ちくしょー!!」

逃げ腰の海賊、ウソップ…いや今は仮面とマントを羽織ったみんなのヒーローそげキングである。
しかしそのヒーローも今は仮面の下で半泣き状態。また尋常でない素早さで逃げていた。


「あんの“盾中将”!!卑怯なんだよ!!
―――いや、慌てるなウソップくん。今は距離を稼いで……
――あーー!!まだかかるのかよ、あいつら!!まさかおれを置いて逃げたんじゃないだろうな!!」

頭の中でウソップとそげキングが行き来する。さっきから撃っては逃げ撃っては逃げを繰り返していた。




【ヒーローは辛いよ】



こんなことになっている原因は少し前に遡る。


「海軍だらけじゃねェか」

「嘘……なんでこんなにいるのよ!」

麦わら一味はある秋島にいた。しかし何故か海軍達がうろうろしている。
サニー号は上手く隠して来たからすぐには見つからないだろうが、船に戻るのに苦労しそうだった。


「おー危ねェ危ねェ」

「サンジ!」

ダダダッと宿屋に入ってきたのはサンジ。


「どうだったの?」

「ああ、なんか巡回らしい。ただ問題なのはあのクソ“盾”野郎の隊だってことだ。おれの顔も割れてる」

「“盾”って…」

「あの“ゼロ”の中将!?」

「あの強ェ奴か!!」

「ワカメか!!音楽家の!!」

「いやいや、海軍だから」

ルフィのすっとんきょうな言葉にウソップは突っ込みを入れる。


「なぁ、適当に抜けた方がいいんじゃねェか?」

「ダメよ!!相手の人数もわからないのよ!!しかも中将を相手になんかしてらんないわ!!」

ゾロの言葉にナミが怒鳴る。


「……ねェ、ちょっといいかしら」

沈黙を守っていたロビンが話す。


「誰かが囮になってその間にみんな船に乗ったらどうかしら?」

「お、囮〜〜〜!?」

チョッパーは悲鳴に近い声を出す。しかしすぐに口を塞がれた。


「チョッパー黙ってろ。バレたら終わりだぞ」

「ヨホホ〜恐い」

「確かに少しの間でも時間が稼げたら逃げれるわね。私は嫌だけど」

「他人任せか!!」

ナミが真剣な顔で拒否をする。ウソップはまた突っ込みを入れた。ロビンは腕を組みながら話す。


「囮になる人は私達が船に乗るまで適度に戦いながらでも“逃げ続け”ないといけない」

「えー!!全員ぶっ飛ばしたらいいじゃねェか」

「それじゃ囮にはならねェだろうが。それにあの“盾”野郎と戦闘になって誰か捕まったらどうすんだ」

「そう。アルトとの戦闘を避けるのが最優先なの。そこでおススメの人選があるんだけど」

「アン?誰だ??そんな奴いたか?」

「ええ。彼を確実に引き付けることが出来る人物が一人いるわ」

ロビンはそう言うとウソップを見た。


「え…?」












「中将、今のところ異常はありません」

『そう。後どれくらいで終わる?』

「後、4分の1程ですので20分くらいかと」

『20分ね』

アルトはそう言いながら板チョコの封をあけ、かじる。今日は中将では異例の巡回任務をこなしていた。


『はぁ…』

「中将、お疲れですか」

『いや…。巡回ってこんなに時間をかかるんだなって思ってね』

「今回は任務のついでですから余計にそう感じるんですよ。次の島が最後です」

『うん。航路の確認は出来てるよね。終わったらすぐ行こう。
で帰ったら、今回こうなった原因のクザンクンに何か奢らせよう』

「ははは。そうですね」

ロールは海兵を数人よび、指示を出す。すると、一人の海兵が走って来た。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ