裏パラ
□ブルーデージーを貴方に
1ページ/9ページ
麗らかな午後のボンゴレ邸。
どんなに平和な日にだって、トラブルの種は落ちている。
「ぎゃ―――ッッ!!!!!」
穏やかに流れる静寂を破り、ボスの執務室から突如大きな叫び声が木霊した。
「!!!!!!!!!!」
絹を裂くような乙女の悲鳴…とは全く異なるものだが、声をあげた張本人であるドンボンゴレ10代目・沢田綱吉を愛するもの達にとっては同等のものだ。(むしろそれ以上か?)
とにかく、綱吉の時ならぬ悲鳴を聞きつけた、彼の腹心幹部達は皆一斉に顔色を変え、廊下を駆け出していった。
マフィア界の頂点に君臨する、ボンゴレボス・沢田綱吉…。
ぽややんとした愛らしい容姿と、強い芯を持ちながらも温和で優しい内面をした年若い東洋人。(華の20代☆)
そんな彼を知るものは誰もが慕い平伏し、例外なく崇め奉る。(最早信仰か!?)
親愛どころか、深い深い恋愛感情まで抱いちゃっている男達が、ファミリーの壁を越えて世界中に星の数ほど溢れているのだ。
アイドルボス、エンジェル綱吉の危機とあらば、ボンゴレファミリー一同全員、地球の裏側からでも駆けつける覚悟がある。
「どうしました10代目ぇぇぇッッ!!!!!賊ですかッッ!!!???」
まず奇声を上げて綱吉の執務室に飛び込んだのは、右腕(自称)兼、忠犬(周知)・獄寺隼人だった。
「どうした、ツナ!痴漢でも出たか?…例えばコイツ(獄寺)とか、」
「んだとゴルァ!!!!!」
続いて山本が表面上はにこやかに、ドアから顔を覗かせる。
ゆったりと振る舞ってはいるが、こちらも屋敷内を全力疾走してきたところだ。
この余裕ぶっている態度には、自分は獄寺よりも冷静に物事を対処できるのだというさり気ないアピールを含んでいる。
実はちゃっかり虎視眈々と、綱吉の右腕の座を狙う男・山本武。
うん、恐ろしい;
だがしかし。
「「…………」」
二人が綱吉の執務室で見たものは。
「…もう、いない…大丈夫だから、」
「ほ、ほ、…本当ですか?」
高級感溢れる厚い絨毯の上に座り込み、霧の守護者の部下である柿本千種にしがみつく、我らが愛しのボスだった。