裏パラ
□微熱と抱擁
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「………、」
千種に服を脱がされた経験はあっても、自分から脱がせるのは初めてな綱吉。
パジャマを床に落とした瞬間、胸に湧き上がる妙な高揚感。
(うわ…、)
引き締まった繊細な肌が露になり、それを目前にすると一瞬息を呑んだ綱吉の手が止まる。
細身でもしなやかな身体は、同性である自分が見ても充分に魅力的だ。
(何か…ちょっと、どころか凄い緊張するな、)
こんなに明るいところで彼の裸体など見たことなかった綱吉は、頬を熱く染めながらもうっかり凝視してしまう。
「…綱吉?無理してるなら、やっぱり自分で…」
何故か自分の身体を見つめた途端、綱吉は固まったまま微動だにしない。
それを心配した千種が、その手からタオルを受け取ろうと動く。
「だ、大丈夫です!!出来ますから!!」
ハッと気付いた綱吉が、慌てて首を横に振るとタオルを素早く後ろに隠した。
身も心も余すところなく許し合った仲だからこそ、出来る行為。
大好きな人に触れられる、お世話させて貰える、その恋人としての特権はフルに活かしたい。
綱吉はもう一度タオルをぎゅっと握り締めると、腰を浮かせて千種ににじり寄った。
「じゃあ、動かないで下さいね…」
「――わかった、」
どうあってもやらないと気が済まないらしい綱吉に、小さく笑みを見せると千種は全身の力を抜く。
多少の意味合いは違うが、まさか綱吉に身を任せる日がこようとは。
しかし、今までにないシチュエーションに、これはこれでいいかと思い直した。
(よ、よし…!!)
軽く腕をまくった綱吉は、温かいタオルを千種の頬に当て、柔らかく円を描くように少しずつ擦っていく。
首筋から鎖骨を辿り、肩、腕、胸へ…。
(この腕に…胸に、いつも抱かれてるんだな、オレ、)
ゆるゆると、力を込めすぎないように注意しながら、千種の肌の上にタオルを滑らせる綱吉は、そんなことをぼんやり思いながら小さく吐息を漏らした。
(早く、…抱かれたい、)
一方、しばらくされるがままになっていた千種は、手つきが若干ぎこちないが、それでも丁寧に、一生懸命してくれる可愛い恋人の姿に我知らず魅入ってしまう。
「………、」
千種のすぐ目の前でふわふわ揺れる、甘い香りを振りまく綱吉の髪。
奉仕に没頭するあまりに、いつの間にか綱吉は千種の膝の上に跨って座る格好で彼の身体を拭っていた。(いわゆる対面座位)←ちょ、おま…;
綱吉の柔らかいお尻の感触と温もりが、膝と大腿にダイレクトに伝わってくる。
そんな体勢で恋人に触れられて、反応しない若い男が果たしてこの世にいるのだろうか…断言しよう、いやいない!!!
「綱吉…、」
「はい?」
不意に呼ばれて、顔を上げた綱吉。
その無防備な桃色の唇から、千種は眼が離せなかった。