裏パラ

□微熱と抱擁
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 ちゅっ、



「…んぅ、」

 見ているうちに自然と引かれて、何の前触れもなく近くなった唇に口付ける。


 唐突なそれに、驚いた綱吉の身体が一瞬強張ったが、すぐに解れて千種の胸に凭れかかった。



 ちゅ、…ちゅっ、



「ん、…ふ、」

 何度も繰り返す、軽く触れるだけのキス。

 片方が唇を離そうとすれば、もう片方が追いかけて唇を塞ぐ。

 ふざけ合い、じゃれ合う二人の密着した身体が熱い。



 いつの間にか綱吉の腕は千種の首に回され縋りつき、千種の手は力の抜けた綱吉の腰をしっかりと支えている。





「ごめん…我慢、できなかった、」

「んぅん、凄い…嬉しい、です、」


 名残惜しく僅かに離した唇から、囁く睦言が耳に心地よく響く。

 まだ触れ合ったままの鼻先が、少しだけくすぐったくてどちらともなく笑みが零れた。




「もう一回、させて…?」

「あ…はい、」

 待ち望んだ抱擁と、甘く蕩ける口付け。




「綱吉、好き、」

「ふ…ぁ、オレも…です、」

 再び重ねた唇の間から熱い舌を滑らせて、千種は綱吉の中を探る。

 ちゅくちゅくと濡れた音を立てて、綱吉の柔らかい舌を絡めとり深く深く貪っていった。




 先ほどの触れ合いとは違った、性的な意味合いを持つそれに綱吉が僅かに震える。



(…あ、どうしよう、…気持ちいい、)

 混ざり合う唾液と熱がもたらす快楽に、脳髄まで犯されて全身に甘い痺れが広がった。


 それに酔う綱吉の乱れた吐息が、千種の気持ちを昂らせ、更に行為は大胆なものになっていく



 綱吉の腰を捕まえていた千種の手が、そろりそろりと妖しく動き出し、ゆっくりとシャツの裾から中へと入る。



「ん、んん…あう、」

 敏感な脇腹を撫でられて、ピクリと身体を揺らした綱吉から漏れる愛らしい喘ぎ。




(…可愛い声、――もっと、欲しい、)

 交わすキスをより淫らにして、綱吉のシャツを捲り上げた千種が、そのか細い体を抱きしめた。





 ―――が。





 ガチャリ。




「只今戻りましたよ、千種!!帰りがけに、消化に良さ、そうな…りん、ご…………を………、」



「「―――あ;」」



 急に開かれた部屋のドア。


 そこには、スーパーの袋を持って立ち尽くす骸様の麗しいお姿が。


 それを見とめたベッドの二人は、思わず瞬時に固まった。
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