裏パラ

□例え全てに背いても
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 ボンゴレ云々を抜きにしても、綱吉個人に入れ込む輩は星の数。


 しかもその中には、名実共に有力者がこれでもかとひしめいている。



 そんな奴らが、財力権力戦闘能力を総動員して綱吉の取り合いでも始めたら…国一つどころか、世界規模で大惨事だ。




 …本ッ当にアホだな;(本人達は大真面目ですが、何か?)




 まぁ実際は、このおぞましい未来予想図が現実のものにならないように、お互いが牽制し合い様子を見ているのが現状なのだが。



 それにしても、何て危ういバランスなのか。



 愛で世界を滅ぼすとは、よく言ったものだ。





「違う。…自覚がないのが一番の問題だな、」

「???」

 キョトンと小首を傾げて瞳をパチクリしている綱吉の無防備な様に、千種はため息をついて肩を落とした。


 こんな愛らしい仕草を無自覚にやってのけるところが、より一層好かれる要因になる。


 せめてもっと本人が、自身の魅力(最早魔力か?)に気がついてくれたら…。(無理な注文)





「いや、何でもない…。今日はもう休んだ方がいい、」

 ちょっと遠い目になりかけた千種は、床に落としたパジャマを拾い上げ、真新しい包帯を巻き終えた綱吉の肩にふわりと掛けた。




「はーい、そうします」


 時刻はまだ、夜10時を回ったばかり。

 眠るには少々…どころかかなり早いが、怪我をしてから数日、過保護な守護者達に仕事は全部取り上げられて、取り立ててやることもない。



 普段は深夜まで起きて、書類とにらめっこしている分、今は思いっきりぐうたらしてもバチは当たらないだろう。



 パジャマのボタンを一つずつ着けて、大人しくベッドに横たわろうとする綱吉は、薬箱を手早く片付ける千種に目を向けた。




「…千種さんは?まだ寝ないの?」

「ん?…うん、」

 千種の返答を上目遣いで窺う綱吉の頬に、ほんのりと朱が走る。






「………一緒に寝たいって言ったら、――ダメですか?」

 病気を患ったり、怪我をした人間はとかく心細くなりやすい。

 綱吉も例に漏れず、若干世話係の千種に甘える節があった。 
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