裏パラ

□例え全てに背いても
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 もっとも、コレはとても稀なことだ。


 何でもない普段なら、あまり他人には甘えようとしない綱吉。

 以前から多少の甘えベタさはあったが、この世界の王となってからは、益々拍車がかかってきている。



 『マフィアのボスに甘えは許されない』なんて…綱吉にも、思うところはあったらしいが、完全に意味を取り違えている。(他人には何処までも甘い綱吉)

 まぁ、部下達としては、毅然と振る舞う健気な綱吉の態度に庇護欲を刺激されて、いつでもどんとウェルカム甘えてマイハニーv(テンションMAX)なのだが。(キモイよ;)





 しかし、今回はマズイ。





 周囲の人達同様に、千種も自分を頼って甘えてくれる綱吉を、限りなく全身全霊を込めて支えてあげたいとは思う。



 心底思うが。




「………、」



 一緒に寝る。



 一つのベッドに二人で寄り添って。




 …確かにこの数日間、寝食を共にしてはいるが、まさか同じベッドで眠っているはずがない!(…据え膳?)←黙っとけ;

 今まで千種は、壁を隔てたすぐ隣、綱吉の執務室にある大きなソファを使っていた。




 それを…一緒に寝る???




 綱吉にとっては何の気なしに言ったセリフだが、例に漏れず綱吉に恋心を抱いている千種は、僅かに目を見開くと思わずその動きを止めてしまう。




 マズイ。


 考えただけで色々マズイ。



「…いや、オレは――隣の執務室で寝るから、」

 動揺が声に出ないよう細心の注意を払い、やんわりとお断りをする千種は、中々の紳士だと思うが。




「そ、ですよね…ごめんなさい、」

 ボスがそんな甘ったれたこと言っちゃダメですよね…と、落胆を隠せず寂しげに俯く綱吉を見て、何故か後ろめたい気持ちになった。


 愛する人にそんな様子を見せられて、無下に突き放せる男が果たしているだろうか?
  
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