裏パラ
□例え全てに背いても
6ページ/7ページ
「…、」
って、コレじゃ益々眠れない。
(…何を考えているんだ、オレは、)←本当にな!
さすがにこのままではいろいろヤバいので、回想を自重した千種は一切のものを無視するようにきつく目を閉じる。
もう余計な思考回路は全て封じて、無理矢理にでも睡眠に集中しなくては。
それにしても、心身ともに休めるべき場所(ベッドv)で、何故自分はこんなにも神経を張っていなければならないのか…。
自然と出る溜め息には、罪はない。
「ん…、」
もぞもぞ、
そのとき何の弾みか、おもむろに身じろいだ綱吉が、千種の大腿に足を絡めてきた。
睡眠下による無意識の行動とはいえ、大胆な綱吉の熱ぅいアプローチ。(大間違い)
勢い、口では言えないあらぬところにまで綱吉の身体が密着し、千種は思わず身を強張らせる。
何とか少しでも距離をとろうと試みるが、結局は綱吉にガッチリ捕まえられているので、微動だに出来なかった。
(もし、このことが他の連中にバレたら…オレの命はないかもしれない、)
…しみじみとそう思う。
図らずも綱吉を抱きしめて、千種がぼんやりと不可抗力について思いを巡らせているうちに、いつの間にか夜は更けていった。
翌朝。
目覚めたばかりの無防備な綱吉が、降り注ぐ朝日の中で身を起こし、手の甲で目を擦る。
「ふぁ…、何かすごいよく寝た…、」
「…そう、」
寝癖がハネまくる髪を揺らし、大きく伸びをする綱吉。
結局一睡も出来ずに夜明かしした千種は、朝から愛らしさを振りまく小柄なボスを眺め、心の中であの黒い死神を思ってうんざりした。
わざわざ自分を綱吉の世話役に指名した、あの小賢しい策士を。
きっとこうなるであろう事態を予測し、一番綱吉の安全(主に貞操関係)を保障される人間を選出したに違いない。
「あれ?どうしたんですか???」
浮かない顔をしている千種を見てキョトンとする綱吉は、何も気付いていない。
「いや、何でもない。……アルコバレーノの判断は、正しかったのかもしれないな、」
愛して、大事に思うあまりに手を出せない内面を見抜かれていたのかと思うと正直面白くはないが、逆に他の男が世話役でなくて良かったとも感じる。
(でも、)
いつまでも侮られてたまるか。
例え世界を崩壊させても、全てを敵に回しても、綱吉が自分を愛してくれるように…。
「…綱吉、」
「はい?」
最初の一歩を踏み出す切欠として、千種は隣に座る綱吉の髪に、そっと唇を押し当てた。
end
→薔薇姫様へ