色々
□幸せですか?
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「ねぇ、君…。本当に進歩ないよね。咬み殺されたいの?」
風紀委員長、雲雀恭弥。それが俺の憧れの人。しっかりとものを言えるし、強いし格好いい。俺なんかが届くはずもない雲の上の存在。
「ねぇ、聞いてるの?」
ボーッとしていた俺にイラついた様に話し掛けてくる雲雀さん。
「ひっ、すすすす済みませんっ」
俺は慌てて駆け出し校舎へと向かっていった。
きっと雲雀さんは怒っていた。嫌われちゃったかな…。でも、嫌われる以前に俺の事なんて眼中に無いか…。
そう思うと少し悲しくなっていった…。
そして、その悲しみを倍増させるのがクラスメイト。俺が入ってくるなり周りの人とヒソヒソ話を始める。
どうせ俺の悪口を言っているんだろうな。
そう思いながら席に着く。机にはいつもの様に"ダメツナ"や"学校にくるな"等という言葉が書いてある。俺はそれを黙って消しゴムで消していく。正直涙が出そうになった。だけど、こんなことでアイツらに涙を見せたくなくグッと堪える。
そして、いつもの様につまらなく息がつまりそうな一日が終わった。さっさと帰ろうと思った俺は鞄の中に教科書を入れ下駄箱へと走る。下駄箱の蓋を開けるとそこには俺の靴は無い。またかと思い溜息を吐いた。
「なぁ、このきたねぇ靴どうする?」
「焼却炉で燃やしちまおうぜ」
「さんせー!」
数人の男子生徒が俺の顔を見てゲラゲラ笑いながら言っている。
「その‥靴、返して‥…」
俺が声をかけ靴を取り替えそうと手を伸ばす。しかしそれは叶わず突き飛ばされ尻餅を着いた。痛くて顔を俯かせるとじんわりと涙が出てきた。
「ねぇ、君達群れてるの?咬み殺すよ」
突然、雲雀さんの声がしたと思ったら男子生徒の呻き声がし、不思議に思って顔を上げたら俺の靴を盗んだ奴が倒れており、その中心には雲雀さんが立っていた。俺の靴を持って‥…。
「その靴…」
「靴?あぁ、これ要らないから君の好きなようにすれば」
ぶっきらぼうな言い方だったけど俺の方に靴を投げたあと雲雀さんが一瞬笑ったような気がした…。
トンファーをしまいその場を立ち去ろうとする雲雀さんを見て靴を拾い上げ慌てて腕を掴み呼び止めた。
俺の為じゃないって事は知ってるけどお礼が言いたいから‥…。でも中々言葉が出てこない。
「何、君も咬み殺されたいの?」
雲雀さんの問いにフルフルと顔を横に振る。
「じゃあ、なんなの?」
雲雀さんの声色がすごく苛立っているように聞こえた。早く言わないと…。
「ひっ‥雲雀さんッ。靴…あり‥ありがと、ございましたッ」
うわぁ、声裏返っちゃったよ…。恥ずかしい‥…。
そんな羞恥心からいてもたっても居られず雲雀さんから逃げるようにその場を立ち去り帰っていった。雲雀さんが何か呟いていた事に気付かず…‥。
「…本当、不思議な子だね…‥」
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