土沖

□約束
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「おい、そう‥」

「死ねェエエエエエ土方ァアアア」

「何すんだ総悟ォオオ」

土方は総悟の素早い動きで斬り付けてきた攻撃をギリギリで避け尻餅をつくと、総悟を怒鳴り付けた

「っテメー俺を殺す気かッ!!?」

「へっ、当たり前でさァ」

「よーし、総悟。テメェ、刀抜けッ」

土方は怒りのあまりにプルプルと振るえながら刀の柄を握った。
しかし、総悟の方は慌てる様子もなくニヤッと笑うと土方にこう言った

「あれ?土方さん。俺に何か用事があったんじゃないですかィ?」

「…チッ」

総悟の言葉に舌打ちしながらも刀から手を離し眉間に皺を寄せ、ため息を吐いた

「はぁ…、近藤さんがお呼びだ」

「近藤さんが?」

「あぁ。だから早く行くぞ!!!」

「へい」

土方と総悟は近藤の部屋へ向かった。




近藤の部屋に着くと、近藤がいつもの雰囲気と違い重く暗い雰囲気をかもし出していた

そして、その暗い雰囲気のまま近藤の話を聞き始めた

「トシと総悟にある組織の排除を頼む」

近藤が二人を呼んだ理由は一つ。そう、不穏な動きを見せる攘夷浪士の排除なのだ

「分かった。近藤さん任せてくれ」

「ま、俺の活躍で土方さんの出番は無いだろうけどねィ」

「はっ、どうだかな」

そんな会話を二人がしていると近藤はポツリと呟くように言った

「生きて帰ってこいよ。絶対無理はするな!」


「近藤さん。大丈夫ですぜ。必ず帰ってきまさァ。
…‥まぁ、土方さんは帰ってこないかも知れませんけどねィ」

「んだとッ…コラッ!!!」

総悟は土方を挑発するようにクスクス笑いながら言い土方はその挑発に乗り総悟を怒鳴りつける

しかし、そのいつものやり取りが、まさか現実になるとは二人は…‥いや、総悟は思ってもみなかっただろう



しかし、土方は予感していたのかもしれない。自分の命の危機を…寿命が尽きるのを…。総悟とのやり取りのなか、一瞬だけ寂しそうな…悲しそうな顔をしていたのだ…‥






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