下弦の月

□華の声、咲くか 散るか…/序章
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もう、三年も前の事になるだろうか。





私の声が消えたのは。






私は白拍子としてある屋敷に仕えていた。



舞を舞い、皆を楽しませるのが好きだった。






それなのに…。






私の声の華は枯れてしまった。



詠えなければ白拍子は続けられない。






…声がなければ。






そんなある時だった。



私の前に突然やってきた男が、言った。




「これからは、私の下で舞うのだ。」





再び、扇を手にとることになる。






舞を舞おう。



運命を狂わす舞を…。






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